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公人に善悪はたぶんない。でも卑怯な人は嫌い。

今日は職場のメインバンクの銀行員たちと話をした。
急に手数料を上げると言い出したり、
来年から一方的にサービスを停止すると言い出したり、
まぁ好き放題主張してくる。

具体的にはこうだ。

「サービス停止は来年の予定だったが、譲歩して
 再来年にしますので、受けて頂きたい」

サービス停止の話は、昨年銀行側が突然やってきて言い出した話だ。

契約書には「疑義がある場合は双方協議を行う…」という文言があるが、
協議もなしに一方的にサービス停止日を決め、
一方的に決めたサービス停止日を延期するのが「譲歩」だというのか。

ほんまにヤクザだな、こいつら。

「これまで我々は対等な立場ではなかったので、
 対等な立場に戻したいだけなのです」

みたいなことを営業部長が言う。

ほう。
対等ではないと。

うちとは30年以上前の契約が生きているから、
業界事情も変わっているし、これまでと同じ契約では利益が出ないのはわかる。
しかし…あまりに身勝手な主張に思えたので、
営業部長の目を見ながら言ってみた。

『対等ではないというのはおかしいでしょう。
 30年前はその対等でない契約を喜んで受けたわけでしょう?
 それはボランティア精神からですか?

 株主の利潤追求が目的である株式会社でそれはあり得ない。
 手数料をゼロにしても当時はそれを上回る利益が
 あなた方にあったからです。

 今は、時代が変わって旨味がなくなったから、
 利益が出ないから契約したくない。
 そういうことでしょ?

 「対等ではない」という言い回しは卑怯ですよ。』

一言一句こうではなかったが、このようなニュアンスのことを言った。

「仰る通りです」

営業部長は意外にあっさり認めた。
まぁ認めるだけ、まだましか。

だが営業部長は話の終始、目を逸らさなかった。
こいつ、わかって言ってやがるな。

つまりはどうあってもサービスは止める。銭にならんもんは撤退するということだ。
まぁ、口にも出したが株式会社が利潤追求するのは普通のことだから仕方がない。
仕方がないが、「地域とお客様のサービス維持のため」なんていう美辞麗句を、いちいち差し挟んでくるのが癇に障る。

だったら最初から、

「金にならんからやらん。
 だってそれが企業じゃん。」

って言えや。と思ってしまう。

地域のためとか、お客様のためだとか、ハゲたこと抜かすな!

そう思う俺はおかしいのだろうか。

二言目には、
「契約の継続について検討することもできる」
のような事を言ってくる。

これは、
「お前らが生意気なこというなら、全体の契約をやめたってもいいんだぜ」
といっているのと同じ、つまりは契約終了をチラつかせる脅しである。

うちの上司の次長や課長も同席していて、
次長が怒りを露わにして、銀行へ攻撃し始めたのだが、
感情が先行しすぎて、論理的でない会話になっていた。

うちの上司が言っていることは確かにちょっとズレているが、
あながち間違ったことも言っていない。
でも感情が表に出過ぎているので、少し滑稽にはなっていた。
それを見る行員の笑いを滲ませた侮蔑的な表情が、
本当に腹立たしかった。

しかしこのままではらちが明かない。
少し冷静になって、周囲を見回す。

今日来た銀行員たちは、どういう背景を持っているのか。

左の支店の男は、あまり興味はなく、この会議を早く終わらせたいと思っているな…。
真ん中の営業部長は、こちらを支配、コントロールしようとしている。
右の若い営業は、気が上に抜けている感じでよくわからんな…。

この見立てがあってるのかわからんが、
何となくわかった気にがした。

この人たちは、
銀行という巨大な存在の使い魔みたいなもので、ロボットのように個のない存在なのだ。
独立した人間だと思うから腹が立つわけで、背後の巨大な存在の方と交渉すべきだろう。

その時にここまで具体的に思ったわけではないが、
そんなような心境になったので、次のような提案をした。

・サービスをやめるにしても協議をしよう。
・まずは今の業務を洗い出して、お互いに出し合って
 妥協点を見つけて契約しなおしましょう。

大して独自性もない提案だったが、
一旦道筋を付けてやると、じゃあそういう方向で。
という感じで、話が進んでいった。

あのまま感情に飲まれていたら、不毛な口論のやりあいになっていただろう。それは双方とも望んでいない。

これを書いている今やりとりを思い出しても、
やっぱりいい感情は湧いてこないが、
個々人をみるのではなくて、全体の背景を相手にするという手法が実践できたのは、まぁ良かった。

組織×組織で考えれば、個々に感情を向けることに大きな意味はない気がするからだ。
こういうやり方が正解に近いのかどうかもわからないけど、
個がムカつく奴らと対峙するには、いい方法なのかもしれない。

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