【13】こちとら大真面目なんだよ!
病院に行かない私に医師は何度か状況を尋ねる連絡をくれた。病院も抗がん剤も嫌だけど澄んだ目をした担当医のことは好きだった。状況が分からない私に直腸の状態を色鉛筆で描いて丁寧に説明してくれたこと、ネガティブなことを言わない感じも好感が持てた。
今元気でいること、いずれ先生の顔を見に行くと伝えると「少し安心しました」と返事があり、顔を見てサヨナラ・ゴメンナサイしたいだけの私は申し訳ない気持ちになった。
先生を騙しているようで罪悪感が湧く。何かのきっかけで「先生が連絡くれた。いい先生だと思う。嫌いじゃない。」と傍に居た夫に言うと「ちかちゃんが先生を信頼してるなら先生の言う治療をしてみたら」と夫が言う。「しないよ!」それとこれとは別!!凄く腹が立った。
しっかり眠って、食事療法、温熱療法、自然療法
免疫力を高めて治す。今ある異常細胞には全て正常細胞に戻ってもらう。
私も「検査したら異常細胞がすっかり消えていた」類の奇跡を起こすぞ。
いつミラクルが起こるのか朝陽を眺め散歩をして、不安はギュっと圧縮して追いやり毎日ご機嫌でいる。
現実的な本に加え、治った人の本を読み、更に次元超えの本を読んでミラクルが起こった後の気分になって朗らかに元気に過ごす日々。
時に痛みを感じたり、どす黒いレバーのような血の塊に緩いウンチが混じったようなものにトイレでギョッとしたり、状況が変わらないことに裏切られた気分になりながら誰にも漏らさず淡々と身体に向き合う。
信じる世界を生きている・・・・のにオカシイ・・・
東洋医学の先生には、異常細胞が居る直腸以外にも身体のあちこちが弱っているのを伝えられ凹む。落ち込んでも一晩寝たら立ち直り「治す、治る、治った!」とイメージを重ね、お気に入りのヨモギ茶をすすって火鉢にイトオテルミーの残線に火をつけてお尻から燻蒸。キッチン換気扇の下であっても煙と匂いが酷い。夫が何も言わずに買ってきた大型の空気清浄機が毎日最大出力でブンブン働いていた。
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そろそろ痛々しくなってきました。我が事ながら恥ずかしい。「進行性」は予想以上に「進行性」なんだよ当時のちかちゃん。言っても無駄だろね。