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西村麒麟句集 『鶉 新装版』

伝説の句集が新装版となって登場しました。

西村麒麟さんの第一句集『鶉』です。

『鶉』は2013年に、私家版の限定200冊で刊行されました。

第5回の田中裕明賞の選考会(『鶉』は第5回田中裕明賞を受賞)や、『天の川銀河発電所』の麒麟さんのページで何句か見ることができていましたが、やはり一冊を読みたかったので、今回新装版が出てくれて本当に嬉しいです。しかも相当かわいい装丁です。

とくに好きな15句を。

へうたんの中に見事な山河あり
虫籠に胡瓜が入るほどの穴
いきいきと秋の燕や伊勢うどん
ばつたんこ手紙出さぬしちつとも来ぬ
よろよろや松の手入に口出して
おでん屋のあたりまで君居たやうな
凍鶴のわりにぐらぐら動きよる
初湯から大きくなつて戻りけり
紙切りの鋏が長し春動く
うつかりや鶯笛を忘れたる
涅槃図の象ほど大き鳥や何
田楽や男同士の照れ臭く
紙箱に鶯餅やちよんちよんと
涼しくていつしか横に並びけり
いつまでも死なぬ金魚と思ひしが


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