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小川軽舟句集 『無辺』

小川軽舟さんの第六句集です。日常に根付いた句が多く、とても好きな句集です。うまい、勉強になる、というのは言わずもがなです。

便箋はインクに目覚め冬の山
「はっ」とする句。大きな季語がよいです。

花散るや柱親しき親の家
「実家」でなく「親の家」といったところがいいです。季語がすこし切ない。

砂擦つて浅き水ゆく冬日かな
写生の目がきいている句。

火の影を踏む白足袋や薪能
火に影があるという発見。かっこいい。

新緑や風吹くかぎり大気圏
宇宙まで行きそうな視点がすごいです。

朝飯に宿の値打ちや沈丁花
いいお宿に泊まりたいです。

手足浮く山椒魚の歩みかな
今年の夏はわりと山椒魚の句を作ったのですが(水族館で2回見たので)、こんなにかわいく描けるとは。

大阪にアジアの雨や南瓜煮る
大阪の実感。季語のずらし具合が勉強になります。

アマゾンの箱破る快クリスマス
なるほど「快」ですね!現代のクリスマス。

初雪や好き好きにとるおばんざい
個人的に『ひな野』というビュッフェレストランを思い出しました。(ひな野に行きたい)

窓に海鏡に海や避寒宿
畳み掛けるリフレインがかっこいいです。

新茶いま目覚めし色に注がれたり
「いま目覚めし色」の明るさ。


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