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能村登四郎全句集⑤ 『幻山水』

能村登四郎の第5句集『幻山水』は、昭和50年、登四郎64歳のときに出版されました。収録句数は446句。第4句集『民話』からわずか3年ほどでの出版です。

「沖」創刊5周年に当たるので記念にとすすめられて出版に踏み切ったとのこと。

ゆく舟を見て又睡る昼寝びと
秋耕の終りの鍬は土撫づる
露微塵冥(よみ)から父の平手打ち
人の世の沙汰を知りたく蜘蛛降りくる
虹かけて滝を離るる滝飛沫
すでに要ゆるびし牡丹崩れざる
眼薬をくらきに置いて土用あい
晩菊や四五戸に尽きる入江村
ぬば玉の闇の甘さの藷の穴
大き手に恍惚と餅伸されゐる




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