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髙柳克弘句集 『未踏』

髙柳克弘さんの第一句集。2009年刊行。

「すぐれた青春俳句に共通するのは、実は際立った巧さである。早熟の才能は措辞にこそ現れる。」「波郷、湘子、克弘の青春詠は、そのまますぐれた抒情詩の系譜でもある。」と、小川軽舟さんによる序文に書かれている。

有名な句ばかりだが、とくに好きな15句を。

雨よりも人しづかなるさくらかな
やはらかくなりて噴水了りけり
木犀や同棲二年目の畳
つまみたる夏蝶トランプの厚さ
太陽の一途に赤し鵙の贄
キューピーの翼小さしみなみかぜ
着ぶくれてビラ一片も受け取らず
日に透かしみる封筒や小鳥来ぬ
秋冷や猫のあくびに牙さやか
蕪煮てあした逢ふひといまはるか
焼藷屋進むあやふきまで傾ぎ
口中に薄荷の冷やかたつむり
先生の家眠たしや簟
缶詰の蓋に油や冬の滝
洋梨とタイプライター日が昇る



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