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第69回 角川俳句賞を読む

受賞作、野崎海芋さん「小窓」より好きな句を。

学食の半地下の窓辛夷の芽 野崎海芋
苜蓿にたふれ泣きたし倒れざる 同
本棚にまりもの壜やつづれさせ 同
アクリルの涯ありて鮫回遊す 同

わたしの作品「唇ポ」は小澤實さんの◎をいただき、50句掲載していただきました。選考座談会はスリリングな展開。4人の選者の◎が割れ、どの◎も決め手に欠けて、○ふたつの「小窓」が受賞となりました。

わたしは最終候補作品のなかでは、椎名果歩さんの「ダクト」と、山口遼也さんの「日晒し」がいいなと思いました。

獅子舞の練り歩きゆく家具売場 笠原みわ子
土筆摘む摘まざる土筆踏み潰し 椎名果歩
爆走のゴミ収集車蔦若葉 椎名果歩
年用意ひんやりと髪染められて 椎名果歩
アイスコーヒーぬと戻るストローの分 桐野晃
花柄に選ばれぬ花さみだるる 山口遼也
ライターの炎貧しや青嵐 山口遼也
白梅や薬湯に似て鯉の池 山口遼也
スピーチに寄鍋の火を小さくし 後閑達雄
凩や叉焼に麺隠れたる 山中望
理容師に眼鏡預くる日永かな 仲村折夫
百合香る父の電話を解約し 村井丈美
枯葦に唾ののどごし繰り返す 大塚凱


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