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蒼海19号 すきな句

初夢の牛頭馬頭の傍すり抜けむ  堀本裕樹
ブランドの金文字寒波来りけり  堀本裕樹

招待作品は堀田季何さん。
さびしさのぼきぼき鳴れる焚火かな  堀田季何
焚火に飽きて合唱や森の歌  堀田季何
 ※
※「ショスタコーヴィッチ作曲」と前書あり

揺れて呑み呑みて揺れたる生身魂  牛尾冬吾
暗闇で触るる子の顔きりぎりす  つしまいくこ
大南瓜転がす父の忌が近し  平林檸檬
甘ゆるといふ恩返し草の花  加藤ナオミ
道化師の繕ひ多き半ズボン  浜堀晴子

秋灯や暖簾を頭突き子ら風呂へ  武田遼太郎
秋蝶ふはと私小説てふ覗き趣味  山口ち加
枯菊や書くとき思ひ出す齢  会田朋代
昨夜のあの月蝕見しか浮寝鳥  板坂壽一
彫る印に体温うつる夜長かな  小谷由果
かぶれたる皮膚の陸めく残暑かな  佐復桂
缶ペンの蓋歪みゐる残暑かな  杉澤さやか
独り居の父の我儘鉦叩  中村たま実
傘を持つこぶし濡れきし子規忌かな  福田健太
サビに髪掻き上げ河内音頭取  曲風彦
箸持てることを忘れて秋思かな  土屋幸代
臍の緒のごときを垂らし鵙の贄  三橋五七
母よりも伯母に似てきし赤のまま  さとう独楽
蓑虫や父に頭を下げ帰郷  杉本四十九士
父死にし齢ちかづく夜食かな  犬星星人
ドーナツのくはへやすさよ鳥渡る  古川朋子

秋のジン呟くやうにつがれけり  すずきなずな
寝返れば厨の桃のにほひくる  窪田千滴
草の花かしこで終はる母の文  福嶋すず菜
水切りのつぶて秋思を離れけり  鈴木トモオ
幼子の言ひわけや良し竹の春  佐藤敏文
焚火してことばおろおろ溶けていく  浅見忠仁
ぐりとぐら千草を摘みに行きしまま  大武端雀
雨粒のくびれて落つる瓢かな  河添美羽
拾骨の箸落としけり白牡丹  児玉智子
天地始めて粛す孔雀の羽に眼ぞ  髙木小都
夕ひぐらし父が食器を洗ふ日々  高橋京子
菊の日や公民館で見る手品  土橋胡翔
軽トラに立てかけ洗ふ障子かな  中川裕規
村祭稚児の化粧のまだらなる  森沢悠子
鉄橋の継ぎ目継ぎ目を秋の声  加留かるか
ドライブに行かう案山子のない町へ  中島潤也
妻の靴いちばん小さし稲の花  森井三喜
冬の雲日記に時々の太字  沖山悠江
介護士とボール回しや小春空  安田旬子


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