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4年ぶりにタクシーに乗ったら、地域が立体的に見えた

「すみません。○○ちゃん、給食を食べる前あたりからお熱があるんですよ・・・。」

12時を過ぎた頃、保育園の担任の先生から電話がかかってきた。夫は四国カルストへ仕事へ出かけ、17時までは戻れない。朝から熱を出していた次女は保育園を休ませていたのだけれど、まさか長女まで発熱するとは・・・。一緒に休ませてあげれば良かった。

さて、どうしよう。

わが家には車が1台しかない。その車はお山のてっぺんの方にあって、17時まで戻らない。そして家には0・2歳児がいる。

しばしあれこれ考え、決めた。行きは抱っこ&ベビーカーで0・2歳児を運び、帰りはタクシーで帰ろう。

ワンメーターで行ける距離だから、行きもタクシーで良かったのだけれど、ベビーカーで散歩に行きたい!とだだをこねていた2歳児の要望に応えるような形で、家を出発した。

お遍路さんも行き交う保育園までの道は、ゆるやかな下り坂だ。のんびり歩いて20分くらいで、園に到着した。

歩いてきたことと、タクシーで帰ることにひとしきり驚かれ&心配されたけれど、顔色がぱっとしない長女の顔を見るとやっぱり来てよかったと思った。そして、先生にさよならを言い、近くの公民館でタクシーが来るのを待った。

やってきたタクシーのおじさんは、優し気な人でタクシーの自動ドアで頭をぶつけた次女のことをやたら心配してくれた。私がよく見ていなかったせいなんだけど。

「〇〇までお願いします。距離が短くてすいません!」と言ったら、「いえいえ、まだ距離が短い方いますよ。障害者の方や介護が必要な方とか。」というこたえが返ってきた。

この町に引っ越してきてから、4年とちょっと。初めてタクシーに乗ったのは、4年前、この町の駅に降り立ち、新居に向かう時だった。

地方では、私たちのような子育て世代は、普段は自分の車に乗っている。1人1台の家庭や両親が近くに住んでいる場合も多いから、タクシーを使うことは珍しい。(男性が飲み会の帰りに使うことはそこそこあるかも。)

一方で、タクシーが無くてはならない人たちもいるんだ。

この町にもいろんな人が暮らしている、そんな明らかな事実を実感したほんとに小さな小さな旅だった。タクシーに乗ってみるという、普段とはちょっと違う行動で、世界はぐんと広がって立体的になった。

また、電車に乗ったら、バスに乗ったら、また違う地域の世界が見えるのかもしれない。娘の熱が、世界を広げてくれた1日だった。

\読んでくれてありがとうございます!/ 頂いたサポートは地域の中で使い、ご縁をぐるぐる回していきたいと思います。