ラストマイル

映画ラストマイルを見た。

映画は色々な伏線があって、いろんな登場人物のいろんな気持ちが描かれていて、引き込まれてすごく面白かった。

けれど同時に苦しかった。

見たあとはあんまり上手に息ができなかった。

うまく言語化できないけれど、
誰も悪くないのに、みんな疲弊していて、
誰かが救われても、その悩みが他の人にいっただけにみえたから。

映画の中の会社の社訓も、
それを思い込もうとする気持ちも、
ベルトコンベアを止めては行けないという気持ちも、ぜんぶ自分と重なって、

むしろあれだけのスピードで周りに的確に指示を出すエレナはかっこよく見えた。

私もこうなりたいと思った。

こうじゃないとやっていけないと思った。

その中で誰かが傷ついていても、困っていても、それでも成果をあげなければ、会社が倒産したらそれこそ莫大な数の雇用が失われるし、国の税金だって減るし、だからしょうがない。

そもそも私たちは社員で、会社に1円でも多く利益をもたらさなければ価値がないのだから。

そう思って見ていたのに、やっぱりその裏でエレナは苦しんでいて、最後は会社に少しの変化をもたらして退職した。
すごく清々しい顔で、本人に思い残すところはなかったのかもしれない。新しい人生を歩み出したのかもしれない。

でも、残された孔と五十嵐さんは違った。
これからもここで、大企業という歯車の中で生きていかなきゃいけない。

五十嵐さんが悪役だという人がいるけれど、絶対にそんなことはない。五十嵐さんも、サラも、悪人などではなくて、そうやって成果を出さないと、自分を言い聞かせないと保たないと生きていけないからこうなっているはずなのに。

上司から責任を取らされ左遷され、部下や周りからは非情な人だと言われ、五十嵐さんはどうやって自分の人生を生きていくのだろう。

入社した時は自分が社会を変えられるかも、とか自分はこんなことをしたいと思っていたかもしれないけれど、知らないうちにそんなことを考える余裕さえもなくなっている。

この映画は本当に今置かれている立場によって、見え方が変わってくると思う。

この映画を見て苦しくなったのは
大人になったからなのか、それとも私が同じように歯車になっているからなのか。

どちらにせよ、いつかこの映画を見て
少しの希望や明日からの活力を感じられるように生きていきたいなと思う。

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