冬に咲く花
お茶の花ももうおしまいである。
日陰で出遅れたつぼみがほんの少しあるだけで、あとはみんな花は散ってお茶の実がぶら下がっているか、それさえも地面に落として枯れて茶色くなった殻だけが残っている。
お茶の実はどんぐりとはまた違った珍しさがあって、子供の頃見つけると集めたものだが我が子たちはまるで興味を示さなかった。今は周辺に自然が溢れているのでもっと珍しいものがたくさんあるからだろう。ぼくは住宅以外なにもない土地で育ったからお茶の実でさえ面白がったのだ。
お茶の実が生るのは生け垣として植えられた木か森で勝手に生えた木である。茶畑の茶は花を咲かせないように刈っているので実をつけることはない。森の茶ももともとはちかくの生け垣かなにかでついた実が飛んでいったものだろう。冷たくなった空気の中、花の蜜にあやかろうと小さなハエやアブがひっきりなしに飛んでいた。
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