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読書と映画の感想文

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読んだ本の感想です。
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記事一覧

ぼくは本を壁に投げつけた。"NEVER LET ME GO"

もともと映画を見たのが先である。Youtubeで予告編を観て不思議な雰囲気のSF作品という印象を…

ちいさな島
1か月前
8

勘違い甚だしいのが腹ただしい「それから」

「それから」はこれも二十年以上前に読んではみたものの暗くて途中で投げ出したままにしていた…

ちいさな島
1か月前
5

胸糞悪い小説「坊っちゃん」

立て続けに日本の古典ばかり読んでいる。この本も20年くらい前に読んだはずだが中身をまるで覚…

ちいさな島
1か月前
15

最後まで読みましたか?「雪国」

雪国を最初に読んだのは2000年始めのことだからもう20年も昔のことである。そして内容はまるで…

ちいさな島
2か月前
15

めったにない凄い小説「荒涼館」

チャールズ・ディケンズの小説はどれもデイヴィッド・コッパーフィールド的と言えるようなもの…

ちいさな島
2か月前
12

欲望の果てに得るものなし「遺産相続ゲーム」

ミヒャエル・エンデの戯曲である。 劇の評価は散々だったらしい。エンデと言えば「ネバーエン…

ちいさな島
2か月前
4

あなたは本当の余暇を知っているか?「アダム・ビード」

上下二段組。本の厚みは三センチある。細かい文字がびっちりとページを埋め尽くす。ぼくはこういう本が好きだ。読んでも読んでも終わらない。何日も何週間もかかって、相当な体力を消耗するような本が終わったときの読了感というのは何物にも代えがたいものがある。 作者のジョージ・エリオットは実は女性である。本が出版されたのは1858年。当時は女が本を書くなんてケシカランという風潮の世の中だった。だから彼女は男の名前で作家活動を行ったのであるが、ジョージ・エリオットというのは不倫相手の名

何度も読むよ。「夢の木坂分岐点」

著者の筒井康隆はぼくの好きな作家の筆頭である。中学生の頃作品に出会って図書館で貪るように…

ちいさな島
2か月前
15

どこまでも透明な「銀河鉄道の夜」

何度も読み返したい本というのがある。そして小説の場合は短編であることが多い。なぜ長編を何…

ちいさな島
2か月前
9

Do not go gentle into that good night

Do not go gentle into that good night. Old age should burn and rave at close of day; Rag…

ちいさな島
2か月前
12

皮肉たっぷりで本音が出たMATRIX 4

MATRIX 4をアマプラでまた観てしまった。それで上映時に映画館で観たときの記憶が蘇った。 ま…

ちいさな島
2か月前
6

またぎの精神世界に触れる。山嶽巨人伝

「山嶽巨人伝」戸川幸夫 昭和34年(1959年) 前回Hunterというアフリカの狩猟家の本を読んだ…

ちいさな島
2か月前
13

死ぬ前に読めて良かった!「スマイリーと仲間たち」

原題を”SMILEYS PEOPLE”という。仲間たちにしたのは少々物足りない感じがしないでもない。仲…

ちいさな島
2か月前
10

読まずに死ねるか!スクールボーイ閣下

ジョン・ル・カレの「スパイ三部作」の中間に位置するこの小説が、まさに第一作目の続編を描いていて驚いた。完全なる続編なのである。「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」はほとんど完璧すぎるほどの出来栄えだったから、まさか物語がその直後から始まるなんて想像できていなかった。ぼくはすっかりジョン・ル・カレのファンになったし、愛すべきキャラクターたちがまた活躍する物語に時間を忘れて読み耽った。 それにしても、日本語タイトルをつけたひとはずいぶん悩んだだろう。原作は「THE HO