逆まつげから学んだこと。
ある朝 起きると、
まぶたが重いことに気づいた。
何だか
限りなく視界も狭い。
疑問に思いながら、
鏡の前に立つわたしの目の前に現われたのは、
四谷怪談のお岩さんか……？ と思うほど
大きく両まぶたが腫れた顔。
誰？ というか、何故？
目を疑ったが、
事実は何度見ても変らない。
ちょうど休みが重なっていたから、
寝ればそのうち治るに違いない
と
最初はそれほど気にしていなかった。
ただ、
丸１日寝ていても、
ほとんど腫れは引かない。
相変わらずのお岩さん顔。
家族からも
気にするなとは言われたが、
ここまで来ると
どうしても理由を知りたくなるのが人間
というもの。
２日目も
朝から寝て過ごし（相変わらずの小岩さん顔……泣）、
ちょっとだけと
お昼過ぎに起き出したとき、
とあることに気がついた。
どうやら、
目がごろごろして痛いようだ。
まぶたの腫れに気を取られていて、
痛みに鈍感になっていたらしい。
鏡を覗き込むと、
目の表面を
細い逆まつげが直撃していた。
太いまつげじゃないが、
それでも痛いものは痛い。
そっと逆まつげを抜き、
再び布団へと吸い込まれていった後。
次に鏡を見て、かなり驚いた。
腫れがほとんど引いている。
勿論、
多少張れてはいるが、
その劇的な変化に驚いた。
『そうか。小さい傷も放っておくと、化膿するんだな』
我慢体質が抜けにくい わたしは
ちょっとの心身の痛みも『大丈夫、大丈夫』と
無かったことにすることが多い。
たぶん、
この逆まつげも
前々から目を直撃していたのかもしれない……。
たとえ
今は小さな傷でも、
放っておけば
大きなダメージとして後から心身を直撃すること
もある。
我慢できるから大丈夫、
ではなく、
我慢できるけれど、痛いからどうしたらいいのかな……？
と自分に優しい選択肢を取れるようになろう、
と思った出来事だった。
結びに、
あなたの心が
ゆるゆると緩まっていきますように……。
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