見出し画像

Münchner Philharmoniker 21.12.23 コンサートの記録:ヘレヴェッヘ指揮ミュンヘン・フィル(ミュンヘン・イザールフィルハルモニー)

12月21日、フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮ミュンヘン・フィルのコンサートを聴きました(イザールフィルハルモニー)。

プログラム。

ベートーヴェンの《ミサ・ソレムニス》、ベートーヴェン自身が自己の最高傑作としています。要求した作曲料も格段の高さです。
以前、ケルン大学の学生だった頃、大学の図書館でベートーヴェンの作曲料について調べたことがあったのですが、《ミサ・ソレムニス》は別格でした。
ただ、その時のノートやメモなども失くしてしまい、詳細は今となってはわかりません。

以下の絵、多くの人が見たことがあると思います(これはミュンヘン・フィルのコンサートのプログラムに掲載されたものです)。
ベートーヴェンは肖像画を描かれることが大嫌いでした。
しかし良き友人だったブレンターノ夫妻の願いを聞き入れて、ヨゼフ・カール・シュティーラーに描かせた肖像画がこれです(1820年)。

この絵の楽譜部分を見ると『ミサ・ソレムニス、ニ長調』という文字が見えます。
この絵はベートーヴェンをよく表現したものとして有名ですが、そこに《ミサ・ソレムニス》の楽譜が書かれていることでも、《ミサ・ソレムニス》の位置付けがわかると思います。


さて、この夜のコンサートでは妙なことが起きました。

第2曲〈グローリア〉が終わったところで、指揮のヘレヴェッヘがコンサートマスターに何か囁いて、スコアを持ってステージを去ってしまったのです。
しかし誰も動かず、おしゃべりもせず、そのまま5分ほど過ぎたでしょうか。
ヘレヴェッヘが再び姿を現し、聴衆が拍手を始めたところ、彼はそれを制御して指揮台に戻りました。

しかし、説明もなく、状況もわからないこの状態で5分は長い。

私の席からはインテンダント席が見えたので、座っているインテンダントのミュラー氏の動向を見たところ、びくともせず座ったままでした。

ちなみに、ホールや劇場ではインテンダントや支配人、オーケストラ・マネージャーなど、上演の際の責任者が座る席が決まっています。
新しいホールではその席でバックステージと通信ができるようになっているところもあります。

最高責任者はステージ上だけでなく、客席で起きることに対処しなければならず、何かあったらすぐ飛び出せる場所にいます。

オペラ劇場の場合はトップ3のうち一人は必ず公演にいて、通常公演の場合でもオーケストラや歌手は気を抜くことはできません。
逆に責任者がいないと、上演がずるずるになってしまうリスクもあり、その辺が優秀な劇場とそうでない劇場の決定的な違いでもあります。

以前、日本での公演の際、「内部の人間が良い席に座っているとは何事か」という批判や「内部の人間は客席で聴かない、観ない」という意見を耳にしたことがあるのですが、いえいえ、違うんです。責任者は現場にいなければならないのです。

ヘレヴェッヘに何が起きたのかは不明ですが、私の何千回というコンサート経験でも、『指揮者の途中退出ー戻って再開』というのは初めてのことでした。
でも、急病や事故ではなく、本当に良かったです。

演奏が終わって。


FOTO:(c)Kishi

以下はミュンヘン・フィル提供の写真です。credit: Tobias Hase


♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
カルチャー・コンサルティングについてのお尋ね、ご連絡は以下までどうぞ。

Kishi Culture & Media Consulting Companie UG
代表:来住 千保美(Chihomi Kishi)

info@kcmc-music.com

ご興味のある方は以下の投稿をご覧ください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?