音楽ニュース:ベルリン・フィルのヴァルトビューネ・コンサートのテレビ特別番組
今、6月17日にご紹介したベルリン・フィルのヴァルトビューネ・コンサートの特別番組が終わりました(6月20日、20時15分~22時15分)。ベルリン・ブランデンブルク放送の司会者とベルリン・フィルのメンバー、樫本大進(第一コンサートマスター)、フィリップ・ボーネン(第二ヴァイオリン)、ザラ・ヴィリス(ホルン)が、ヴァルトビューネ・コンサートのこれまでを振り返り、エピソードなどを紹介するものでした。
ベルリン・フィル団員3人の話は興味深く、そして活き活きとしていて、話も巧く、とても楽しいものでした。
とくに2018年、サイモン・ラトルが主席指揮者として最後のヴァルトビューネ・コンサートを指揮した時のエピソードがとても愉快だったので、ここにご紹介しておきましょう。
ホルンのヴィリスのアイディアだったそうですが、コンサートの最後、ラトルが聴衆に語りかける間に、金管楽器奏者がラトルのヘアスタイルをまねた白髪の巻き毛の鬘をかぶり、指揮をしようとして振り返ったラトルを驚かすというものです。
この鬘は彼女の母親がインターネットで見つけ、金管楽器セクションのメンバーに「みんなで一緒にやろう」と説得し、鬘を注文したそうです。
ラトルはもちろん事前に知らされておらず、オーケストラの方に振り向いた瞬間、それに気づき、困ったような照れくさそうな、でも嬉しそうな笑顔を見せて、すぐには指揮できませんでした。それからラトルは聴衆に振り向き「信じられないほど可愛い!」と叫んでいました。
また、この話を聞いたグスターヴォ・ドゥダメルは自分も巻き毛のため「鬘をこれから20年、ちゃんと持っておいてね、僕が白髪になるまで」と言ったそうです。
ラトルはエルガーの≪威風堂々≫を指揮しましたが、その映像を観た司会者と大進、ボーネン、ヴィリスが「連帯だ!」と言って立ち上がる印象的なシーンもありました。画面の左下の隅っこでは大進が「僕、ロンドン生まれなんだよ」とつぶやいているのも聞こえました。
この他、ヴァルトビューネのコンサートが天候に左右され、とくに弦楽器には過酷なこと、野外なので音響づくりに慣れないこと、また通常のベルリン・フィルのレパートリーにない映画音楽なども演奏するため、慣れておらず大変なことも挙げられていました。加えて・・・
蚊との闘いは壮絶だそうです。09年、ブロンフマンがラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を弾いたときの映像が出ていましたが、テレビの画面でも蚊が飛び交うのが鮮明に映っていました。
さて、来年はどうなるでしょうか?
一刻も早く、通常通りのコンサートが戻ってきてほしいものです。
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