音楽の話:5月1日、ベルリン・フィルのヨーロッパ・コンサート、芸術、文化、食料、健啖

4月27日にもお伝えしましたが、5月1日11時からベルリン・フィルのヨーロッパ・コンサートがライブ中継されました。

私がテレビをつけたとき、シュタインマイヤー大統領のスピーチの最後の部分でした。ちょうど、大統領は「芸術と文化は、文字通りの意味でLebensmittel(レーベンスミッテル)です」と話していました。

ここで少々説明しますと、Lebensmittel とは通常「食料、食糧」という意味で使われますが、もともと「Leben」(生、生活)と「Mittel」(手段、方法)という意味の2つの名詞から成り立っており、そこで「生きる手段」=「食料」という意味になります。

そうなんです。芸術と文化は決して「余暇の楽しみ」ではないのです。生きていくために不可欠なものです。食料と同様、芸術と文化なしには人間は生きていけないのです。大統領はその意味を込めて「文字通りの意味で」と言ったのだと思います。

このコンサートには第一コンサートマスター樫本大進をはじめ、日本人メンバーも出演していました。現在、ベルリン・フィルの日本人メンバーは、樫本大進の他、町田琴和(第一ヴァイオリン)、伊藤真麗音(第二ヴァオリン首席)、清水直子(ヴィオラ首席)の4人です。ドイツのクラシック音楽シーンで日本人の活躍が少なくなっている現在、彼・彼女らが世界一のオーケストラ、ベルリン・フィルの主要ポジションについているのは、嬉しく頼もしい限りです。

頼もしいといえば・・・今年の2月、清水さん以外の上記3人と一緒に食事をしたのですが、みんな本当に健啖家です。あの食べっぷりはすこぶる気持ちがいい(それでも、スリムになった大進は以前より食べなくなったと言っていましたが)!私が知る限り、素晴らしい音楽家には健啖家が多いのですが、そのヴァイタリティーの元は健啖、食事にあることをまたまた実感しました。

この時の3人は、もちろん日本語もできるのですが、話す言葉はドイツ語と英語がメインでした。生活と仕事の拠点がドイツということもありますが、その方がリラックスして話ができる、というのは私も理解できます。私の場合は気を遣わずに、『忖度』なしにストレートにものが言えるし、議論ができるからです。

さて、このヨーロッパ・コンサート、ユニセフ大使となっているベルリン・フィルは、出演者のギャラを難民の子供たちへの支援に寄付します。

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