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川端千帆の、分厚いおさいふ

彼女は友人にも家族にも連絡がまめな方ではない。

心から大切に想っているし、困っていたら助力は惜しまない。それだけは断言できるのだけれど。

彼女の人間関係は無期限のスタンプカード制みたいなのかもしれない。

スタンプはそのひととうれしいことがあったときにぽぽんと押したりして、ぱたぱたして、また次にいるときまでおさいふに戻しておく。

期限がないので、彼女のカードはいつまでもそこでくつろいでいる。隣人同士こんにちは、どうもとよろしくやっていたりして。

ときどき店名も忘れてしまう、けれど行った証がなんだかきれいでとってあるだけのカードも、彼女の立派に肥えたおさいふの一員なのだ。

たまに見返して、ひとりで楽しむ。このひとそういえば昔あんなこと言っていたわ、それでひとしきり笑ったんだわって思い出してはによによしている。

(だから彼女は、なんだか楽しそうねと言われてしまうのか?)

どこか独りよがりな気がしなくもないけれど。このスタンスは多分もう少しこのままなんだろう。


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