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ナンシー関トリビュート「ただそこにある赤いペダルスティール」by能地祐子さん

ナンシー関と太宰治の命日が1日違いということもあり、今日あたりから気を引き締めていこうと思う。
下弦の月が霞んで見える。

ショックだったのは、ナンシー関の本をほとんどをどこかに(たぶんニューヨーク)置き去りにしてしまったことだ。読もうと思ったらここには一冊もない。「思い出の反芻は目減りのしない娯楽」
ナンシーの世界に浸りたかったのに。

代わりに太宰でも読んでみようと「もの思う葦」を開いたページが「田舎者」という作品だった。

 私は、青森県北津軽郡というところで、生れました。今官一とは、同郷であります。彼も、なかなかの、田舎者ですが、私のさとは、彼の生れ在所より、更に十里も山奥でありますから、何をかくそう、私は、もっとひどい田舎者なのであります。
「田舎者」太宰治

たったこれだけ、の文章で「田舎者」は結ばれている。ひどい肩透かし。眠れなくなった。

本棚を掘り起こして、奥の方からやっとナンシー関トリビュートのムックを見つけた。河出書房から2003年に出版されている。

 やあ、みんな。テレビからは悪い電波が出てるから、見るとばかになるぞ (中略)みんなもテレビは考えながらみよう。それもばかみたいかもしれないが
ナンシー関「popteen 89年7月号」

このムックにはナンシーへの想い、ナンシーとの思い出、ナンシー関論がいっぱい。泣きそうになる。

「ナンシー関」トリビュート特集の白眉は能地祐子さんの「ただそこにある赤いペダルスティール」
ああ、この素晴らしい追悼文を読めて本当に良かった。能地さん、ありがとうございます。
太宰治の肩透かしまでしっかり回収されていま
夜空に白い紙テープ、投げたい気分です。
誰に目がけて投げればいいのか分かりませんが。










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