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桜田の好きな本を紹介します!

こんにちは!桜田千尋です。
今日は僕の好きな本を紹介しようと思います。

【梟書茶房さんのイベントにて】

少し前の話になるのですが、2022年10月に満月珈琲店のレシピ帖第2弾「満月珈琲店のレシピ帖-12星座とめぐる星カフェメニュー-」を発売させていただきました。
その記念イベントで池袋の梟書茶房さんというめちゃお洒落なカフェで桜田千尋のトークショー&サイン会をさせていただいた時のお話です。(PixivFANBOXに掲載したときの記事を加筆修正しています)

梟書茶房さんは「本と珈琲」がテーマのお店です。
面白いのが本のカバーを隠して札に書かれた紹介文や読みやすさなどのお店からのおススメポイントで選ぶというところにあります。単に面白そう!と惹かれることもあれば、ひょっとしたらアレかな……とか色々考えを巡らせることができてとても楽しいです。

本はお店に入る前の本棚に並んでいるのでカフェ利用なくても買えます。
ただ店内がすんごいオシャレなのでせっかく来たのであればぜひぜひカフェ利用をしてみてください!

イベント開催当日はバタバタしていたので、カフェ利用が出来なかったのですが後日再び訪れまして、名物の「本と珈琲のセット」を注文しました。

こんな感じ。ワクワク感しかない。
こちらが本と珈琲のセット。
本の中身は普段絶対読まないジャンルだったのでこういう出会いができて良かったなと。

で、今回イベントを開催させていただくにあたって桜田のおススメ本5冊を紹介させていただききたいとのことでした。
しかも「桜田千尋先生のおすすめ本」としてお店に置いていただけるとのこと。
おおおー!こ、これは何を紹介するか悩むぞ……。。。

自分の好きな本と誰かに読んで欲しい本は違うような気もするし、満月珈琲店が好きなお客さんを前に紹介するわけだし、かといってみんなが知っているような大ベストセラーを今更僕が紹介したところで……とも思うし。

結局これ決めるのに仕事そっちのけでほぼ丸一日使ったんですよね。
家の本棚を眺めて本を出したり戻したりを繰り返しました。
本当にめちゃめちゃ悩んで5冊選書しました!

こちらが実際の売り場の様子。素敵なコーナー作っていただけて大感激です!
この桜田のコメントは選書する際、担当編集さんに送った文面なのですが、
梟書茶房さんがそのまま使ってくださって嬉しかったです。

梟書茶房さんのコンセプト上、カバーを隠しての販売となるのですが、
ここではその本の正体を明かして紹介したいと思います!!
この5冊にしました!

写真は僕の私物です。梟書茶房さんで販売されている本は形態や出版社が違う可能性があります

さてさて皆さん読んだことありますでしょうか?
写真左側の本から順に詳しく紹介していきますね!

①重松清「青い鳥」

文庫版も出ていますがハードカバーで読んでたのでこちらを紹介

「おススメの本を教えてください」という質問をこれまで何度か受けてたことがあるのですが、その度にいつも最初に紹介させていただいているのが本書です。

僕は重松清さんの小説に触れて文芸の沼に引きずり込まれました。
「流星ワゴン」「きみの友だち」「疾走」「きよしこ」など数々の作品を読んできたのですが、僕はこれが一番こころに沁みました。
短編連載形式の作品で、僕は一番最初の「ハンカチ」というお話が好きです。
孤独、喪失、心の痛み、人の存在意義、優しさ、思いやり、そして命のこと。そんな、生きていくうえで大切なことがこの本に描かれていると思います。

②上橋菜穂子「狐笛のかなた」

文庫版と文芸版でカバーの絵が違うのですがどちらもいいんですよね。

「獣の奏者」「鹿の王」「香君」数々の名作を世に送りだしてきた日本が世界に誇る児童文学作家、上橋菜穂子さんの作品の中で僕が最もおススメしたい本です。

超大作「精霊の守り人」よりも前に刊行されている作品で、上橋作品には珍しい日本を舞台にした和風ファンタジーであるのも特筆すべきポイントかなと思います。

美しい風景描写に心を奪われ、霊狐や呪術の存在ワクワクし、国同士の駆け引きにドキドキハラハラします。
そして何より小夜と野火のけなげで一途な思いに心を打たれます。
お話のラストは感動もので、体の中に渦巻く感情をどうやって処理すればいいかわからなくなります。
僕は読後数日間、余韻を引きずられてどうしたらいいかわからなくてお気に入りのシーンを何度も読み返しました。

メディアミックスされている作品が多い上橋作品の中で、本作はアニメにもマンガにもなっていないんですよね(舞台にはなっています。DVDすぐ買いました)。
野火や小夜の姿がオフィシャルの画としてまだ出てないので、ぜひぜひ映像化をお願いしたいです!


③黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」

様々な形態で出版されていますが、僕は青い鳥文庫版を持っています

言わずと知れた大ベストセラーに僕が初めて出会ったのは大学を卒業して印刷屋さんでアルバイトをしている時でした。
当時お金がなかったため、バイトが休みの日はよく図書館に通っていたんっですよね。タイトルは知っていたのでどんなものか試しに読んでみるかぐらいの軽い気持ちで手に取ったのですが、ここまで心を揺さぶられる作品だとは思いませんでした。
ベストセラーになったのも納得の一冊です。

最初に読んだときはトットちゃん目線で楽しく読んだのですが、自分が親になって読むと、今度はトットちゃんの親目線で読んでいる自分がいました。破天荒な行動がどこか自分の子どもにも重なってトットちゃんがとても愛おしく感じられました。

ただこの大ベストセラーを今更僕が紹介したところで……と思っていて最後までこの本を入れるかどうか悩んだのですが、間違いなく今の僕を構成している1冊だと思ったので紹介させてもらいました。

④糸井重里「夜は、待っている。」

酒井駒子さんの絵が美しい。
使われている用紙、本の大きさ、デザインも含めて大好きな一冊です。

本の魅力とはもちろん書かれている内容であることには間違いないのですが、僕はその中身を包む装丁やデザインも本の魅力の一つではないかと考えています。
持った時に手になじむ用紙、文庫以上単行本以下の手に収まるちょうどいい大きさ、酒井駒子さんの優しいイラスト、小口も青色になっていてなんだかお洒落……。

糸井重里さんの大切で温かい言葉を包むにはぴったりの装丁だと思いました。ぜひ持っておきたい一冊です。


⑤花千世子/作 海ばたり/絵「とっとと成仏してください!」

児童書なので中身も絵がたっぷり入っています。
絵とお話が合っていて、1冊の本としてとてもいい本に仕上がっていると思いました。

これまでの4冊はわりと古い本になってしまったので、新しい本を入れようと思って2022年で一番面白かった本を選出してみました。

僕は本好きのイラストレーターということもあり、文章とイラストの良い関係というものについて常日頃よく考えています。その答えの一つが児童書だと思っています。

登場人物のドタバタな掛け合い、かわいい動物たち、ジーンとする切ない場面や、ほろっとするラストシーン。本作はそんな花さんの素晴らしいお話と海ばたりさん可愛く繊細な絵が合わさったまさに文章とイラストが良い関係を築けている1冊だと思います!(現在3巻まで発売されています)


と、いう5冊でした。
いかがでしたでしょうか?
本の紹介文は選書する際に僕が担当編集さんに送った文面なのですが、梟書茶房で販売しているカバーにも使っていただけててとても嬉しかったです!

ちなみに今回の選考基準は「現時点で僕の本棚にある本」でした。
僕は大学生の時、古本屋さんで働いていたということもあり元々本はたくさん持っていたのですが、引っ越しや結婚、子どもが生まれたこともあり手放した本ってたくさんあるんですよね。
そんな僕の人生の波に巻き込まれながらも、色んな理由から手放さなかった、いや、手放せなかった本の中から選んでみたかったのです。

もし読んだことがあれば僕としてはとても嬉しいですし、もしこれを機に読んでもらえるのであればひとりの本好きとして、こんなに嬉しいことはありません!


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