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奥能登国際芸術祭2023とこれからの芸術に思うこと

8ヶ月以上前の昨年10月に行った奥能登国際芸術祭のことを書いておきます。

もし飛行機で行かれる時は、小松空港ではなく能登空港がおすすめです。

意外だったのは、能登半島の地形は海沿いだからといってずっと海が見えるわけではありませんでした。途中から海岸沿いではなくなり、能登半島の先端の方の道路は、坂道でしかも急な山道でした。車線は1車線で、後ろから車が来ると運転してくれていた友人はちょっと緊張気味に運転していまし
た。

空港、能登半島の先端の方、サービスエリア、道の駅で、バイクで来ている方も結構見かけました。バイクの方に人気の場所なのかもしれません。

日本海側だからなのか雨風がひどく、雨が降ると思っていた以上に寒かったです。折れるかと思うほど木がしなり、風がピューピュー音を立てており、ニュースで見た台風の映像を思い出し、まるで台風かと思ったのですがアプリで天気を見ると台風は来ておらず驚きました。持っていた傘は壊れそうですし、友人がホテルで借りた傘は壊れてしまいました。

海沿いに民家があると、とても津波を避けられないと思われる高さで、この高さだと津波が来たらどうするのだろうと心配になりました。車で進んでいると、道路にまだひび割れの箇所があったりで2023年6月の地震の爪痕が残っていることを感じました。
海を見ると海上自衛隊の艦艇が見えたのですが、海の向こうには今も緊迫しているいくつかの国があるのだということを思い出しました。


芸術祭にはパスポートがあり、スタンプを集めていきます。私は、アプリでスタンプを貯めていましたが、ほとんどの方が紙のパスポートでした。アプリをいちいち立ち上げるのに時間がかかりましたので、多分紙のパスポートの方が便利でした。


それでは気になった点と良かった点を書いていきます。

気になった点

作品がパンフレットの写真と違うことがある

パンフレットの写真より実物がいい時もありますし、もちろん悪い時もあります。ちょっとイメージと違ったということもありました。

ご飯を食べられるところが少ない

食事ができるお店がいちばんたくさんあるのは輪島市でした。小さいご飯屋さんが多く、夜は当日予約しようとしたら急な予約は忙しかったのか嫌がられました。
作品の近くにはあまりご飯を食べられるところがないのと、食事できるお店は小さいからすぐ満席になってしまうので、昼も夜もできるなら事前に予約した方が良かったです。
朝市は、コロナ以前は14時までだったようですが、コロナ以降はお昼の12時までで営業時間が短くなっていました。13時を過ぎると他にご飯を食べられるお店も少なくすぐ完売してしまっていました。

宿泊できるところが少ない


何かのイベントと重なっていたのか、平日なのに予約できるホテルが少なかったです。輪島が一番ホテルが多く、蛸島エリア、飯田エリアは少しだけホテルがありました。ホテルがあるエリア以外、コンビニ、ご飯やさんがありませんでした。
道の駅のトイレは綺麗でしたが、作品を鑑賞する場所でも旧小学校だったとしても使えるところと使えないところがありましたので、コンビニとトイレは事前に調べておくことをおすすめします。

ナビが古いと住所で場所が出てこない


いくつかの箇所はカーナビに出て来ず、ナビができず迷い、googlemapで探したり、近くの目印まで行ったり来たりで看板を探しました。作品によっては、駐車場、看板がわかりにくいとこあり、駐車場からちょっと歩くこともありました。
それに、展示は17時まででしたので夜に行くことはないと思いますが、山の中にある道は道が細く、特に山は明るいうちに行くことをお勧めします。
 

カメムシ大量発生


10月の中旬に行ったのですが、カメムシが大量発生していました。緑色のカメムシしか知らなかったのですが茶色いカメムシが大量発生していました。
旧小学校、旧保育園、旧幼稚園は来客用に元々スリッパがあったと思われるので、靴を脱いで鑑賞するときにスリッパがあって良かったです。がしかし、旧公民館は元々スリッパがないので、靴下で鑑賞することになりスリッパがなかったのが困りました。
なぜかというと、場所によっては施設の中にカメムシがいたからです。作品展示のために施設内がちょっと暗い場合があり、カメムシの匂いがすると、どこにいるかわからないのでビクビクしていました。靴下で踏んでしまうんじゃないか、ここにいるかもと、不安を感じながら恐る恐る爪先立ちで進んでいました。それと、雨がひどくて靴の中まで濡れてしまった日、濡れた靴下で床を歩くのがなんだか申し訳なくて、スリッパがあったら床を濡らさずに済むのにと思っていたからです。

良かった点

アンケート

塩田千春さんの作品が展示されている急な坂の上にある旧清水保育所で、紙かネットによるアンケートをとっていました。
具体的には、宿泊費、交通費、お土産、食費、どこでいくら使ったか、どこから来たか、何を使ってどうやってきたか、何泊しているか、このイベントをどこで知ったのかという内容です。このデータを活かそうという姿勢はとても良いと感じました。
どんな人が来て、どこから来て、何に乗って、どこでお金使って、どこに泊まって、どんな行動をするのか、私も、とても興味あります。

地元の方々が頑張っていた

瀬戸内国際芸術祭はボランティアをたくさん集めていますが、奥能登国際芸術祭は地元の方が会場の担当をされていました。

作品が素晴らしい

車が必要ですが、作品をドライブしながら巡るのは楽しかったです。今回は1つだけ作品を見に行く時間がなくスタンプは全部は埋まりませんでした。だけど、初めて知ったアーティスト、初めて見た作品、この芸術祭で知って別の美術館でそのアーティストの他の作品を見ることができたとき、この芸術祭のことを思い出しました。少しずつアートに対する知識がついてきています。
これだけたくさんの作品があると、好きなアーティストや好きな作品が見つかるはずです。

これから



震災の後、しばらくは能登の映像を見ることができませんでした。それでもYouTubeやSNSで見かけることがあり、ちゃんと見ておかないといけない気がしていました。
あの時宿泊したホテルはどうなったかな、あの時行ったあのご飯屋さんはどうなっただろう、海沿いだったけど大丈夫かな、と気になっています。

色々と国内の観光地に行ってきましたが、社会のこと、世界のこと、政治のことについて知るたびに観光地にさほど興味なくなってきていることを感じています。観光というより、そのまち自体や、歴史、強みや価値に興味を持っています。

今回初めて奥能登まで行きました。電車が七尾までしか通っておらず、七尾までは以前来たことがありました。今回、七尾に宿泊していた友人によると、七尾に一部オシャレなエリアがあり、美味しいレストラン、美味しいパティスリーがあったり、とても良いところだったと言っていました。

ふぐも、お魚も、お肉も、お米も、お塩も、美味しいものがあり、自然があり、芸術祭期間中も人が多すぎず(平日だったからか人が少ないことにちょっと大丈夫かなと心配になったくらいです)、能登はポテンシャルはあります。だけど、震災によって変わってしまった今は、何を残して、何を残さないか、選ぶ時期に来ているんですよね。

能登だけではないですし、全国の芸術祭も、映画も、美術館の展示会も結構な頻度で国からの補助金が入っているのを見かけます。文化や芸術を育てて広めていくことにはとても賛成です。ただ、いつまで補助金が続くか不明な将来に期待するより、自活できる状況を作り出していって欲しいです。
舞台も公演だけでは、美術館も展示会単体だけでは黒字化が難しいことは知っています。
将来的に海外のオーケストラ、オペラ、バレエ、ミュージカル、映画、アートなどがお金の問題で日本に呼べなくなり、日本にあるコレクション、日本人のアートしか選択肢がなく、海外の作品を、芸術を日本で見られなくなってしまったら悲しい。たとえば20年後とかに、海外でしか有名な作品は鑑賞できないとなってしまったら、なんだかとても虚しい。

もちろん、日本の現代アーティストの方の作品も大好きです。でなければ、こんなにアートを頻繁に見に行ったりしません。西洋美術も、東洋美術も、古典美術も、現代美術も、見たいものの選択肢があることが大切だと思ってます。

映画館の作品が、過去のリバイバルが増えていることは生存戦略なのか、なんなのかも気になっています。2023年のハリウッドのストの影響もあるらしいです。

どれくらいの人にとって芸術が、アートが大切かわかりませんが、私にとってはなくてはならないものなのです。未来のこどもたちが本物を知らない世界にはなって欲しくない。


ここからは、芸術祭の作品の写真をいくつか載せておきます。

白米千枚田
潮騒レストラン(坂茂さん)
自身への扉(ファイグ・アフメットさん)
珠洲海道五十三次(アレクサンドル・コンスタンチーノフさん)
家のささやき(ラグジュアリー・ロジコさん)
漂移する風景(リュウ・ジャンファさん)
イカの駅つくモールとイカ墨ソフト
人間は赤ちゃんから生まれる(北山善夫さん)
いいよ、いいまち、いいだまち(のらもじ発見プロジェクトさん)
小さい忘れもの美術館(河口龍夫さん)
La tienda Maeno(ソル・カレロさん)
記憶への回廊(山本基さん)
遠のく(梅田哲也さん)
コスチューム×身体×スズズカ(ひびのこずえさん)
幻想考The Butterfly Dreams(さわひらきさん)
時を運ぶ船(塩田千春さん)
あかりのありか(泰然さん、きみきみよさん)


それでは今日もbonne journée!

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