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ECの「空中戦」とイートイン「地上戦」 両面作戦を考える

緊急事態宣言解除を受け、僕たちソラノイロも店舗のイートインを再開しました。ですが、リモートワークが定着に向かう中、イートインへのお客様の戻らなさは、正直言って深刻です。コロナ禍が落ち着いたら人の流れは戻るのか? それともこのまま「新しい生活様式」に沿った勝負なのか? 先行き不透明な状況が続いています。

前回、noteでは「ラーメン業界にも新局面!「ECサイトのこれから」の話をしよう」と、ソラノイロが進めるECの話を書きました。ECサイトは5月が過去最高の売り上げを記録して、リアルの1店舗に匹敵する規模に成長してきました。だけど、それが打ち上げ花火に終わっては意味がない。巣ごもり需要で購入いただいた方に、ニューノーマルでも継続して買っていただけるよう、魅力のある商品づくりを引き続き進めていかなければなりません。

だけど、このタイミングになって考えることもあります。僕たちラーメン店にとっては、イートインの「地上戦」だけではなく、ECサイトの「空中戦」も展開しなければ時代になってきている、ということです。先日も、スタッフの研修をしながら「これって、地上戦を前提にしたやり方なのかも……?」と考えました。

たとえば、僕たちは「お客様に嫌われることのない接客」「不快感を与えない仕事」をしよう、とスタッフを育成してきました。また店舗に足を運んでいただき、ラーメンを食べてもらう。それが大前提だったんです。だけど、ECサイトは対面じゃないから、お客様の顔が見えない。お客様との関わり方がまったく変わってくるんです。「嫌われない接客」よりも一歩踏み込んで、「ファンになってもらう」「商品をカートに入れてクリックしてもらう」と考え、仕組みづくりをしていかなければなりません。

手探りの中、スタッフ一人ひとりが「どうやったら、もっとお客様が喜んでくださるか?」「効率的にやるにはどうしたらいいのか?」「どうやったら無駄がなくなるのか?」など、自分の頭で考えて、議論を重ねながら進めています。

さらに、空中戦と地上戦をどうやってクロスさせるか。これも大きなテーマになってきました。

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たとえば、6月の「おうちでソラノイロ」は、『鉢の葦葉』さんとのコラボが好評をいただきましたが、そこで大きな気づきがあったんです。『鉢の葦葉』さんは三重県四日市のお店ですが、BASEのオーダーリストを見ると、名古屋圏はもちろん愛知、岐阜、三重など、東海の各エリアから多くのご注文をいただいていました。

東海の名店として知られる『鉢の葦葉』さんのパワーはさすがだな、と感じたのですが……僕たちも『ソラノイロ NAGOYA』を東海エリアに出店しています。東海エリアからご注文いただいた方に、名古屋店をなぜアピールしなかったのか? ある意味、機会損失ということです。

ECの空中戦に打って出たけど、地上戦のみで戦っていた時代の頭のままで、「いかにリピート購入していただくか」しか念頭になかった。しかし、それでは広がりがありません。ECのお客様をリアル店舗に誘導し、リアル店舗のお客様はQRコードなどでECサイトにアクセスしていただく。クロスオーバーで戦略を考えなければいけません。

SNSでの拡散、他店や他業態、インフルエンサーとのコラボも含めて、従来の戦法に固執していては生き残れない。スタイルも考え方も、変化を続ける者こそ前に進み、新しいラーメンを届けることができるのではないでしょうか。

もちろん、この気づきも『鉢の葦葉』さんとのコラボを仕掛けたからこそ。これまで青森の『長尾中華そば』さんともコラボをしてきましたが、まだまだ各地の強豪と企画を考えていきたい。そして、それはラーメン業界にこだわるものでもありません。今は日本そば、フォーなど他業界とのマッチングも進めているところですから、ぜひご期待いただければと思います。

テイクアウト、お土産ラーメンにも
新しい感覚を生かしていく


ECサイトや持ち帰りラーメンを多くのラーメン店が手がけていますが、僕は自分でも意欲的に購入、トライして、お客様の視点で「何が求められているのか」「どんな課題があるのか」を模索する日々です。

前回のnoteでは「ECサイトでは二郎系のラーメンが人気」と言及しましたが、店舗のお土産ラーメンでも二郎系が元気なんです。昔から好きでよく通っている『ラーメン二郎小岩店』は、スマホで簡単に購入できるデジタルチケット「PassMarket」を活用したテイクアウト販売が大人気。「回転が遅い」「行列が長い」といった二郎のウィークポイントを逆手に取り、「人目を気にせず自分のペースで」「好きなときに食べられる」お土産ラーメンを成功させました。2時間で約100食の持ち帰りがさばけるとしたら、月単位でかなりの売り上げ増につながります。お客様にとっても、そして店舗側にとってもWin-Winの施策でしょう。

実はソラノイロも麹町本店が創業した1~2年目は冷凍のお土産ラーメンを提供していて、それなりに評価をいただいていました。今は浅草橋のファクトリー&ラボの移転・再オープンを進めていますが、そこでは「工場直売」のラーメンキット、麺を提供できるよう、準備しているところです。

たとえば、『とみ田』の豪華チャーシュー盛り、うちだったらベジソバなど、ECではなかなか再現できない、お店で食べることに価値があるメニューもあります。だけど、二郎系のようにEC、持ち帰りだからこそ魅力が発揮されるものもありますからね。

今後もイートイン・ECサイト・お土産ラーメンを多角的に進めて、新しい時代のラーメン提供を考えていきます!

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