見出し画像

言葉を見つける 退職後の日々

4/11 今日は単発バイトの初日。いろいろ不安であまり眠れなかった。場所は、歩いていけるほどの距離にあるスーパーの鮮魚コーナーにて寿司のパック詰め作業をする。勤務時間は朝の八時から十二時半まで。親切な方ばかりで思ったよりうまくいった。人生で一番大量に刺身を見た日になった。

4/12 バイト2日目 昨日よりもずいぶん慣れた。飲食業の仕事はこれまでたくさん経験があるけれど、担当は接客だったので製造は初。
炙り寿司を作る作業のとき、炎を見ていたらなぜかパワハラ舅の言動がよみがえり、心の中でクソジジイほろびろ、と念じてしまった。帰宅後、疲れて夕方まで爆睡。

4/13 帰省。平日に故郷に帰るのは実に六年半ぶり。JRはすいていてのんびり座れた。親友の店をたずね、事情を説明する。これは、リセットのためにしたかったことの一つ。彼女がいれてくれたコーヒーはとてもおいしかった。次の仕事を探す話をしていたら、大きなことがあった後に無理するとしんどくなることがあるよ、のんびり働くのもいいよ、といたわってくれた。

4/14 母から、「お父さんには事情を言ってないから」と言われたけれど、言ってくれたほうがいいのになあ、と思った。恥ずかしいことをしたのは舅であって私ではないのに。

4/15 二泊して、午前中の列車で戻ってきた。これで一区切りのリセットボタンを押せたように感じる。

4/16 図書館ボランティア活動へ。今日はお仲間がおらず、ひとりきり。わいわいできず残念だった。「下園壮太さん」という方の著書をたくさん借りて帰った。

4/17 夫は友人とゴルフ、なので寿司バイトに行った。三回目にして少し楽しくなってきた。またおいでね、と言ってくれた人がいて少し安心できた。

4/18 不安感が強い。最悪なことを妄想してぐるぐるエンドレス。こんな日もあると思うしかないけれどしんどい。

4/19 夫の通院に同行。隣にショッピングモールがあるので、私はそこにいた。スマホのガラスフィルムが破損していたのを、修理に出すことができてすっきり。3年前の日記を読んでみたら、「もう無理」って書いてた。ずっと長いこと、限界なんてとっくに超えていた。「何とかしたよ。長いことごめんね」と、追記した。

4/20 退職してから全然車を運転していなかった。久しぶりに運転。自分が使ってた社用車を夫にもってきてもらった。だって明日は、自分が買った車の納車だから。

4/21 納車日。あいにくの雨。というか、けっこうな土砂降り。ようこそいらっしゃいました。これから一緒に走っていきましょう。

:::::::::::::::::::::::::::::

この十日間では、単発バイトを実際に経験したことと、帰省。意思決定と行動の数は減ってきた。ということは、落ち着きを取り戻しつつあるということだろうか。目まぐるしさも、減ってきた。

「下園壮太さん」の著書はとても面白かった。自分が置かれていた状況に当てはまりそうなことがたくさんあった。

私は、大きな危機に見舞われたあの時、感情を麻痺させることで必要な意思決定と行動を起こしたのかもしれない。それは、「退職」という決定を曲げないこと。それから、すみやかに次の道に進むこと。もしあの時、感情に飲み込まれていたら退職できずにいたかもしれない。私が自分のパワハラを我慢するのが当然だと心から信じているような爺さんに言いくるめられてしまったかもしれない。そうしたら、何も変わらない日々がただ続いただけ。限界なんてとっくに超えていたのに。

やっと言葉を見つけた。私がした決断は、「最善」だった。最善策を取るために痛い思いをしたのなら、それは自分で引き受けてもいい。


この記事が参加している募集

#退職エントリ

2,467件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?