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ひろしまタイムラインの味わい方

現在進行中のプロジェクト、「ひろしまタイムライン」が大きな反響を呼んでいます。
式典や慰霊祭が長年続けられてきたものの、戦争を知らない私達の世代が、かつてこんなに戦争や原爆、当時の人々を身近に感じ、思いをめぐらせたことがあったでしょうか。

アウシュビッツで亡くなったEva Heymanがもしもインスタグラムをしていたなら?という企画がありましたが、リアルタイムツイートという形で、現在と1945年の個人をつなぐという試みは、日本発、というよりも世界発ではないでしょうか。

「ひろしまタイムライン」をまだ見たことのない方は「それは何だろう?」と思うことでしょう。

75年前、広島で過ごされていた三人の実在の人物の日記を元に、1945年と現在の、同日、同時刻をリンクさせ、一郎さん、やすこさん、シュン君がそれぞれ感じたこと、それぞれに起きた出来事をつぶやいていく、というプロジェクトです。

一郎@ひろしまタイムライン

やすこ@ひろしまタイムライン

シュン@ひろしまタイムライン

※ツイッターの「リスト」機能を使うとより時系列をリアルに体験することができます

なんということでしょう。時間の魔法です。
今私達が生活している同じこの時刻に、三人はどうしていたのか、リアルタイムに刻まれていく言葉を見ているうちに、1945年の8月を未来から見つめているような、不思議な感覚が生まれていきます。

出会ったこともない三人が、だんだんと身近な存在に感じられていきます。

この試みには様々な意見があり、当然賛同できない、という意見もあることでしょう。
私個人としては、この初めての試みを体験できるこの夏は、何年後かにふりかえってみたとき、あれはとても特別な時間だった、と感じる時間になると思っています。
人間の一生は長いようで短く、自分というたったひとりの人生しか生きることができません。
自分以外の人生を深く知る機会も、なかなかあるものではありません。
そして、悲しいかな。知らないことはわからないのです。

わかっていれば、知っていれば、出来事も、人間関係も大きく変えていくことができる。それを知ってはいても、具体的にどうすればいいのか、わからないものです。

1945年と今の自分をつなぐ。
つないで、重ねて、かつて確かに流れた時間を感じてみたい。
そんなふうに思い、タイムラインに積極的に自分の気持を重ね、
企画なんだ、本当は書いている人は違う、
などという現実をいったん脇に置いて、まっさらな気持で、いつもどおりのツイートとして受け止めることにしてみました。

三人の人生を生きることはもちろんできませんが、その思いを受け止め、共感し、軌跡をたどることはできます。
(疑似体験は、イメージ上の体験ではあっても、実際の体験と同じような効果を脳にもたらすという文献があります。)

そうして味わいはじめると、本当に75年前にタイムスリップしたような、不思議な心地が訪れました。

同じように感じている方が多いのか、三人のつぶやきに、今、目の前にいる相手にするように言葉をかける方がたくさんいます。
「それでいいのだ」と思います。

言葉を受けとめ、言葉をかけていくうちに、私達は75年前の三人とどんどんつながっていきます。

三人とともに、大きく心が動き、喜びも悲しみも、ぐんぐん響いてきます。

だからこそ、8月6日からの日々はとてもつらかった……おそろしかった……

私達は、三人がこれから味わう光景をもうすでに知っています。
知っているから、なおいっそうつらい。
変えようのない過去がつらい。
まっしぐらに悲劇に向かう過去の選択がつらい。

けれども、これが1945年に本当に起こったこと。

どんなにつらくても、胸が痛んでも、それでも、このタイムラインを体験するのか、しないのか、選ぶならば、迷うことなく、するほうを選びたい。

終戦の日までのこれからの日々、残酷な出来事が続いていきますが、最後までおつきあいしようと思います。

「ひろしまタイムライン」をどう味わうのか。
それは千差万別、それぞれがそれぞれの受け止め方、味わい方で良いと思います。
資料や教材として見るもよし、私のようにタイムスリップ感覚で味わうもよし、です。

それぞれのやり方で、味わい、感じ、過去からのバトンを受け取りましょう。

1945年を旅しながら、2020年の私達を、50年後、100年後の人々が未来から見つめたとき、一体何と言うだろう……?
などと思いました。


#ひろしまタイムライン
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