休学体験記Vol.5~タルマーリー編~
2021年4月8日~5月5日、鳥取県にある田舎のパン屋タルマーリーでインターンをさせてもらった。
地域循環とかものづくりの世界では超有名店のタルマーリー。
HPにはこんな言葉が載っている。
なぜそこに?
休学を決めて一番最初に連絡したのがタルマーリーだった。
もはやタルマーリーでインターンするために休学したと言っても過言ではない()
私とタルマーリーの出逢いは、遡ること約2年半。大学1年生の頃の授業で、月間社会教育に掲載されていたマリコさんの文章を読んだことがきっかけだった。
そこで私は初めて、”社会の分断”とか”つながりを感じて生きる”という考えに触れた。今では私のど真ん中にある価値観だ。
あとは、とても単純な話、一度パン屋さんで働いてみたかった。
経験したこと
仕事面
1日8時間×週5日間、主にパンの販売&カフェスペースで働いていた。
仕事内容としては、
・パンの梱包&発送作業
・パンの店頭販売
・カフェの接客
・洗い物
・清掃
など。
タルマーリーのパンは、コロナの影響もあって店頭販売よりも発送の方が多い。
インターン生の仕事の多くは、この発送に関わる作業だった。
焼きあがったパンを冷まし、数を数えて発送用と店頭用に分ける。
必要分のパンを切り、ひとつずつ袋詰めをしていく。
発送先ごとに仕分けをし、段ボール箱に詰めていく。
9時に出勤して、ここまでをだいたい14時までに終わらせる(具体的な時間はちょっと記憶が曖昧)。
で、その後は17時まで掃除や片付けをしていることが多い。
お客さんが多いときは接客もやるけど、だいたいはこんな感じ。
私がインターンしていたときは、私含めて3人のインターン生が働いていた。その3人のうち1人ずつ、約1週間朝のパンの製造に入らせてもらうことができた。
その場合は、朝6時に出勤し、パンの生地を載せているトレーをひたすら洗う。あとは、冷蔵庫(?)の掃除。時間が余ると、チーズとかバナナとかの食材を切って計ったりも。
そんなこんなをして、お昼ごろに販売部門に合流。
普段より早めの14時に退勤できる。
生活面
インターン中の滞在先は、スタッフも住んでいるシェアハウス。
タルマーリーの店舗からは、たしか徒歩10分ぐらいの距離。
ひとり一部屋個室が与えられ、インターン生用のキッチンもある。
食事は、お昼はお店で賄いを食べ、
朝晩は、まかないの余りをもらったり、足りない分は食材をもらってシェアハウスで自炊する。
毎日タルマーリーのパンを食べれるのは、本当にしあわせ。
あと、なんといっても、タルマーリーのクラフトビールが飲み放題。
インターン生みんなで毎日かなりの量を持って帰って、
帰宅と同時に乾杯する日々だった。
タルマーリーのリアル
全身で感じる菌本位制
菌本位制も、本で読むだけでなくタルマーリーという場で働くことで、ようやく少し実感することができた。
焼きあがるパンの形や大きさが微妙に異なること。
パンを焼く順番や置く時間は日々人の目で様子を確認しないと決められないこと。
出来上がったパンの味や食感。
ビールの味は変化すること。
周りの環境によって左右される菌の様子、タルマーリー産ビール酵母のありえない生存能力、などの話をイタルさんから直接聞けること。
生きものの営みによる、画一化とは真逆にある、日々の違い。
論理だけじゃ説明しきれないそれらを観察し丁寧に向き合う人たち。
そんなことを、全身で感じてきた。
また、
・洗剤は使わない
・パンをつくる過程で廃棄される生地は、牛に食べてもらう
・廃棄が出ない売り方
・粉袋や段ボールは再利用
・自然栽培や、ご縁のある場所から仕入れている
など環境負荷が少ない仕組みは、働いていてとても気持ちの良いものだった。
完璧じゃないタルマーリー
実際に行く前、
タルマーリーはすごい場所であり、憧れの場所だった。
だけど、そんなすごい場所も、完璧なわけじゃない。
めちゃくちゃ正直に言うと、
「働く人を大事にしきれてないのでは?」
というのが、私がタルマーリーでインターンして最も大きく感じた違和感だった。
なんというか、イタルさんの言葉を借りると、「サバイバル」な環境で。
スタッフの居心地の良さや働きやすさの優先度はあまり高くないような感じを私たちインターンは受け取っていた。
タルマーリーの環境についていける人は残るし、ついていけなくなるといなくなる。
そんな環境でもあった。(今はどうかわからないけど)
そのあたりも、実際に働いてみて初めてわかることだった。
インターンのあり方
1か月単位とかで住み込みで働くような滞在様式そのものを探求することも、私の休学の目的のひとつ。
今回気づいた点は、以下の通り。
・従業員とのシェアハウス
非意図的なデザインだけど、そこで関係性をつくれることで、安心して仕事ができたり、パンの製造部で何が起きているのか知ることができる。それが大きな学びに繋がった。
また、朝早いスタッフもいるため、21時前に各々自室に戻ることが多かった。それによって生活に余白ができたのは、心地良い滞在の要因。
・1か月ごとに新しい人が来る
→新しい風が吹き続ける。外から見てすごいと反応をもらうことが、スタッフにとっても良い影響を与える。
その反面、毎回教えなおさなければならないスタッフ側の負担は大きい。
・対等な関係性とは
労働力として扱われている。個として扱われていない。そんな感覚をしばらく持っていた。1日8時間がっつり働いたのもあるけど、それよりなによりおそらく声かけひとつの問題。
あとは、簡単にイタルさんやマリコさんと話せるわけではない。あまり雑談できる雰囲気ではないし。イタルさんはいないことも多いし。もちろん頼めば時間をつくってくださって、その時間は非常に学び多きものだった。
ぼけっとしてるとあっという間に4週間経ってしまう、学びは自分でつかみにいくスタイルのインターンだった。
・まかない最高
・インターン生の多様性
インターンと聞くと学生なのかなという気もするが、一緒にインターンしていた他のお二人は、30代の方と40代の方。それぞれ全く異なるバックグラウンドをもって、それぞれの動機があってこのタルマーリーに集まっていた。
個人的には、ふたりとの程よい関係性が、インターン期間中を楽しくすごすのには欠かせない要素だった。
自分についての発見
自分について発見は、旅につきもの。
今回は、
・私、接客が好き
・ものづくりとか発酵とか、素敵だとは思うけど、ドーパミンは出ない
・意外と、「田舎暮らししたい」て方向に気持ちが向かわなかった
・私はどうやら比較的合理的な人間らしい。
・新卒でタルマーリーやカフェスローで働くというロールモデルと出会った。
とかだったかな。
・・・
最後に。
受け入れてくださったタルマーリーのみなさん、
お話する機会があった地域の皆様、
お話するお時間をつくってくださったイタルさんとマリコさん、
たくさんの時間をともにすごしたシェアハウスのみんな、
お互いに補い合いながら一緒に4週間やりきったインターンのおふたり、
本当にありがとうございました!!
これからタルマーリーのインターンに行こうとしているどこかのあなたにも、何かの参考になりますように。
番外編
インターン中の休日や、インターン後に訪れたところ
・初めてひとりでレンタカー
芦津渓谷でトレッキングからの西粟倉の温泉「元湯」へ。
各地域と比較することで、自然の違いがわかるようになってきた。
そのときに出逢った、”旅とは新しい景色を見ることではなく、新しい視点を得ること”という言葉が、とても腑に落ちた。
そのとき書いたnoteがこちら。
・もちがせ週末住人の家
関係人口の取り組みが気になっていたところ。謎の馴染み具合いだった。
・汽水空港
コンセプトが好きな本屋さん。
・米子水鳥公園
小学5年生の頃にKODOMOラムサールで訪れた場所に11年ぶりの訪問。
自分の原点を思い出した。
・よんよん訪問。
清里ミーティング2019で同部屋だったよんよんが島根県大田市に住んでいるということで、遊びに行きました。ありがとう!!
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