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「宿は沖縄への恩返し」沖縄ゲストハウス「結家」女将の結ねぇに元ヘルパーがインタビュー!

2022年12月から2023年1月でヘルパーをしたちーちゃんです。
結家ヘルパー期間中、女将の結ねぇにインタビューさせていただきました!結家の歴史からこだわりまで、とことん聞いてみました。


自己紹介をお願いします!

結家女将の結ねぇと申します。木下大サーカスでアクロバット芸人をやっていました。特技は、ヨガとタイマッサージと絵を描くことです。毎朝8時に朝ヨガ、夜8時からは持ち寄りシェアパーティーをやってます!


沖縄との運命の出会い

私がゲストハウスを始めたのは、沖縄に住みたかったからです。

サーカス時代仕事で初めて沖縄に来て、飛行機から島を見下ろした時になぜか突然泣けてきてしまったんですよね。当時は常に更に高い結果を出し続けて行かなければならないプレッシャーに疲れていたんだと思います。この風景に触れた時に「価値がなくても生きていていいんだよ」と言われたような気がして、それでガツンときて、沖縄に住みたいと思って動き始めました。まさに運命的な出会いでした。

そこから、5年半かけて、沖縄で何がしたいかを模索して、お金を貯めて、移住してゲストハウスを始めました。 


沖縄への恩返しとしてのゲストハウス

サーカス時代、全国を転々としていたので、私自身が旅人でした。沖縄で何ができるかを模索していたときに、「柏屋」というゲストハウスに出会ってとても親切にしてもらって、それがゲストハウスをしたいと思ったきっかけです。私のゲストハウスで、世界中の人達にこの素晴らしい沖縄の今帰仁村を知ってもらいたい、結びつけたい、そうして役に立ちたい、そして私自身たくさんの旅人達の違う価値観に出逢ってここで旅するように暮らしていきたくて、沖縄でゲストハウスをすることにしました。

サーカス時代の結ねぇ

サーカス芸人の仕事は、お客さんと「魅せる」「魅せられる」の関係がハッキリしていたのですが、私はそうではなくて、みんなで持ち寄ってみんなで幸せになりたい。その形が、ゲストハウスでした。

沖縄に還元したいという気持ちが強いので、うちでは宿以外の職業はせず、お客さんにも地域のスーパーや飲食店、アクティビティを紹介して、なるべく地域にお金を落としてもらうようにしてます。

あと、結家のお客さんと地元の人が結婚したり、結家で出会ったお客さん同士が結婚して子供が産まれて沖縄に移住したり、少子化問題にも貢献できているかなと(笑)


最初は何もない大草原でした

結家は、以前は今とは別の場所にありました。最初の8年間は賃貸で期限付きで家を借りて運営していたんです。

旧結家

今の結家がある土地は、元々牧草地でした。ポニーが2匹いるだけでしたね(笑)最初は、こんな広大な土地でゲストハウスやるなんて恐れ多いという感じでしたが、それでもやりたいよね、と何度も自分に問いかけて、思い切って土地を購入して、そこからは成功の一択しか考えずに突っ走りました

基礎とインフラはプロに依頼しましたが、内装は全部自分たちでやって、なるべくお金をかけずに作り上げたゲストハウスです。実は、昔は今ゆんたくをしている真ん中のスペースが土間になっていて、なかったんですよ。端と端をあとから繋げたんです。他にも、土地を156cm上げて海がみえるようにしたり、元旦那のためにサッカーができる広い芝生を作ったりしましたね。


接客のこだわりは「全員覚える」

私がゲストハウスを運営するうえでこだわっているのは、その日来てくれたお客さん全員の顔と名前を覚えるということです。名前を覚えて呼ばれると、お客さんは嬉しいですよね。なるべく「○○さん、おはよう」とかって呼びかけるようにしています。

とくに、ドミトリーはひとつ屋根の下で、誰が誰か分からないと気になると思うので、新しいゲストさんが来たら「ゲストで〜す!」と言って、全員の名前を紹介しています。


あだ名によって非日常を

結家では、あだ名で呼び合っているのもひとつ大きな特徴ですね。

あだ名をつけることで、年が離れたちょっと強面のおじさんとかも、親しみやすくなったりして、同じ目線でコミュニケーションできるようになると思います。

本名とは関係ないあだ名を私のフィーリングでつけることもありますよ。普段の生活や職場で呼ばれている名前じゃないあだ名で呼ぶことで、結家では非日常を楽しんで欲しいなという想いもありますね。旅先であだ名で呼び合う「キャンパーネーム」と同じ発想です。


料理は人格がみえる

結家の名物といえば、持ち寄りシェアパーティー(おかず交換会)です。持ち寄るものは、なんでもいいんですよね。手作りでも、買ったものでも、美味しかったらなんでもOK。料理は結果論なので。

この持ち寄りシェアパーティーがあることで、一緒に買い物に行ったり、隣に座ってお話しながら食べたり、片付けしたりと、すごくお互いの人格がみえるんですよね。そういう時に、恋って生まれやすいんです(笑)

持ち寄りシェアパーティーは、いちばん結家の結家たる行事ですね。ここで、新しい価値観の人と出会ってお話しして、旅の醍醐味を味わって欲しいなと思います。

結家は、お客さんが主役の宿です。持ち寄りシェアパーティーがきっかけとなって、料理を振る舞ったり、ドラム缶風呂で焚き火をしたり、星空を見に行こうと率先したり、お客さんがそれぞれの得意分野で輝ける仕掛けになっています。


創業時からあったヘルパー制度

ヘルパー制度は、創業当時からありました。私が宿を始めるにあたって、誰かと一緒ではなく一人でやりたかったんですよね。宿を始めるために、当時付き合っていた彼氏を「私の夢を邪魔しないで!」と振ったくらいです(笑)

ただ、完全に一人だと遊びに行く時間もないので、ヘルパーを募集しました。ヘルパー制度については、沖縄の柏屋や月光荘でみて知っていました。最初のヘルパーさんは、北海道から移住希望のお母さんと4歳の息子さんでしたね。

持ち寄りシェアパーティーも、私とスタッフがご飯を食べているのをお客さんが見てて、「食べます?」ってなって、そこから「持ち寄ろうか」ってなって、けっこう早い段階で始まりました。


1ヶ月限定だからこそ濃い時間になる

ヘルパーは累計400人以上になりますね。20年続けていて、基本は1ヶ月ごとに募集しているので、そのくらいの数になります。

1ヶ月限定にしているのは、ヘルパーってボランティアなので、終わりがみえないとしんどいと思うんですよ。

1ヶ月限定にすることで、限られた時間の中でしっかり楽しむぞ、というふうになるので、期間を区切って募集しています。この経験を楽しんでいただけたならもちろん何度でも再ヘルパー大歓迎です!


ご近所さんが泊まりに来る宿

結家には、沖縄に住んでいる人もけっこう泊まりに来ます。この前は、結家から2kmくらいのところに住んでる人も泊まっていましたね(笑)

ご近所さんは、寝るだけだったら家でいいと思うのですが、持ち寄りシェアパーティーだったり、人との出会いだったり、海だったり、寝る以外のところに価値を感じてもらえているんだと思います。結家には、やっぱり非日常があるんですよね。


ヘルパー中に気軽に稼いで欲しい

私は、頑張る若者を応援したいというところがあって、起業したいヘルパーさんには、結家の余ってる土地とか環境をつかって、気軽に稼いでほしいんです。

たとえば、美容師さんとかカフェやバーなどやりたい人とかに、結家をチャレンジする場所として提供していきたいです。ヘルパーさんからはマージン取らずに100%利益でOKです。今までだとタイマッサージやってた子はよく稼いでましたね。結家は、何かやってみたい人がチャレンジできる場所でありたいと思ってます。


宿に「ライバル」はない

もし結家のヘルパーさんが宿を始めたら、結家のお客さんをどんどん紹介しますよ。旅人が「ただいま」と言える場所が世界中に増えたら、みんな幸せだと思うから。

私は、宿に「ライバル」はないと思っています。宿同士でお客さんを取り合って潰し合うのではなく、宿同士みんな仲良くできたらいいと思うんです。

最近は、沖縄北部の宿同士で「やんばるサーキット」と言って、4つの宿をサーキットするというのを始めました。

やんばるサーキット宿のオーナーたち

宿オーナーの皆で共有してる想いがあります。

「お客さんはモノじゃないから、取ったとか取られたとか、くだらないことを言うのはやめよう。お客さんの意思で魅力があるところに自由に行くし、私たちが仲良くしてたら、みんな自由に回れるから、宿にはライバルとかは絶対なくて、気持ちよくみんなに行かせてあげて、旅人も私たちもみんなが楽しく仲良くできたらいいですね」

そうやって宿同士、仲良くすることでお客さんを紹介しあったり、お互い困った時に助け合ったりして、いい関係を築けています。


インタビュー後記

今回は、結家の女将、結ねぇのインタビュー記事を書かせていただきました!意外と知らなかった結家の歴史や結ねぇの宿業へのこだわりを知れて、楽しい時間でした。そして、何より、沖縄への愛が伝わってきました!結ねぇのみんなで分け合って幸せになろうという精神がとても好きです。これからも、また結家に「ただいま」と言いに行こうと思います。

今回のインタビューは音声でも公開しています。音声では、私と結ねぇの対談形式で聞くことができて、記事には載せていないこぼれ話もあるので、こちらでもぜひ聴いてみてください!


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