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太陽礼拝108回

毎年、年末に差し掛かると、色々なところで開催されるヨガの年末イベント。
太陽礼拝は、立位の基本が詰まった、12のアーサナを一呼吸一動作で連続して行うシークエンスだ。

ヨガの練習を始めて3年くらいだった頃、今は亡き、中島正明先生にアーサナをはじめてアジャストして頂いたとき、

毎朝10回、いや5回でいい、太陽礼拝を練習するといいよ。運命が変わるから。

と言われた。
その言葉を丸ごと信じたわけではないけれど、スッキリするよ、とか身体が変わるよ、ではなく、運命がかわる、というその言葉に興味を覚えた。
とにかく、そのときから、毎朝、太陽礼拝をやりはじめた。

運動という言葉は、運命を動かすという意味だという。かのアインシュタインは、狂気とは同じ行動を繰り返しながら、異なる結果を期待することだと言ったそうだが、身体を使って行動するということは、運動を伴う。

そして、1番小さな運動は呼吸ではないだろうか。

呼吸からはじまり、全身を大きく使う太陽礼拝が、運命を変える。

あの頃私は、自分の人生が嫌いで、自分が嫌いで、負の感情でいっぱいで、ヨガで変われると信じてもいなかった。
でも、きっと私は、運命を変えるというその言葉に、深いところで希望を見出したのだと思う。

毎朝の太陽礼拝が、呼吸する喜びを、身体を流れるプラーナを、過去と未来のつながりを、体に思い出させてくれた。

腕を大きく動かす。
胸を開く。
目線を上げる。

長い背骨のライン。
背中、脚の前側と後側。

床に着いた手のひらの力を信じて、力強く下がり、後ろから前へ、大きく踏み出す脚。

両足を揃えて、一度内側に閉じてから、また空へ開き、そして中心に戻ってくる。

ここが中心だとわかるまで、繰り返す。

太陽礼拝を、108回もしなくていいと思う。
疲れてくるとクセが出て、身体を痛めることもある。悪くすると、ケガにつながることも。

108回やり切ることそのものに意味はない。

だけど私たちはいつも万全じゃない。
肩に力が入ってたり、
腰が反っていたり、
頭が前に出ていたり、
骨盤が歪んでいたり。

大切なことは、自分の状態に気づくこと。
そして心地のいい場所へ、自分をアジャストすること。
どのくらい疲れると、意識が体から離れていくのかを知ること。
その気づきの1つ1つがつながって、ケガをしない体をつくる。

安全な場所で安全に繰り返せる間だけ動いていたら、行動は、かわらない。

108回を目標にすることで、気づくチャンスを得られる。

行動が変われば結果が変わることを体感できるチャンス。

今私は、夫と犬たちと、小さな一軒家で暮らしている。会社員をやりながら、週末にヨガを教えている。忙しくしんどいことも多いけど、自分の人生を愛せるようになった。

太陽礼拝だけがすべてではもちろんないのだけど、それが始まりだったような気がする。
確かに、運命を変えた、そんな感触がある。

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