ジョー・モリヤマさんに写真を撮ってもらい、表情が社会への窓であることを学ぶ
国際的に活躍する有名カメラマンの、ジョー・モリヤマさん。バルセロナにお住まいなのだが、パリでシューティング・セミナーをしてくださるということで、参加した。
ジョーさんがよく頼んでいるというフランス人のメークアップアーティストに、メイクをしてもらった。かなりあっさりしたメイクで、え、これプロのメイク?と、拍子抜けするくらいである。
実際の撮影の前に、まず表情についてのお話があった。表情を作る3要素は、目元と口元と性格。目元は社会への窓、眉間にしわを寄せたりしない。口元は心の鏡、口角を上げて。そして脳がつかさどる性格。言動や社会へのかかわり方、考え方が表情につながってくる、という。
それから実際に街に出て撮影開始。いちばん印象に残っているのは、「やさしさをぼくにください」、と言われたことだった。それから「あ、さわやかな感じ。じゃあそのさわやかさでやさしさを包んで、またぼくにください」、とも言われた。
たくさん撮っていただいた写真の中から、ジョーさんが5枚プラス1枚(アザーカット)の写真を選んで、送ってくださった。それをみて、ちょっと衝撃を受けた。
よく思い返してみると、こういう顔の写真も、わりとあったような気が、だんだんしてくる。でもいただいたときの自分の認識は、いつもこんな顔で写っていたっけな?という、意外な感じ。
目尻にシワが寄っているし、これはよく写っているなーとも、最初はそんなには思えなかった(すみません)。でも何人かの人に見てもらうと、これがいいのだそう。
今まであんまり意識したことがなかったのだが、表情というのは社会に対して自分を映し出す重要な窓であり、コミュニケーションツールなのだ。
わたしはやさしい、と言われることが少なくないので、自称ではなくそうだ、ととりあえず言っておく。でもいつも表情がやさしかったかというと、そんなことはまったくない。
写真にはメッセージがついており、まさにそのことをジョーさんに指摘された。こんなにやさしい表情なのにもったいないですよ、と書いてある。
犬とかに対しているときは、もしかするとこういう表情なのかもしれない。しかし社会の荒波に揉まれ、現実にくずおれているとき、こういう表情はしていない。
つまり、そういう過酷な社会環境にいるとき、自分にとっては不自然な表情を、しているわけだ。
カメラを向けられると、わざとらしいガッと笑った顔を作る人がいて、いかにも内面をつくろっている感じが、見えることがある。ジョーさんの得意技は、そういうつくろった顔ではなく、自然な表情を捉えること。
ジョーさんが一流のカメラマンであるのは、被写体をまず人間として観察し、その人の内面性の自然な本質を見通して、それを写真に映し出すことができるからである。
こういう表情でいることを外側から心がけると、内面もより平穏になり、もう少しなめらかな人生を送ることができるかもしれない。
写真を撮っていただいてフィードバックをもらうことで、そんなことを考えさせられた。
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