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辞める勇気と続ける勇気。


「辞める」という選択や決断は、周りからマイナスなイメージを持たれることが多い。ひとつのことを長く続けることこそが美学だと言う人もいる。

何かを辞めたり捨てることのほうが勇気がいるような気がするけど、違う角度から考えてみると、続けることもまた勇気なんだと思う。

私は子供の頃から"辞める"ことや"手放す"ことに対して、あまりネガティブな感情は持っていない。

続けるのか辞めるのかという選択肢は、物事をやってみてないと現れない。だからその選択肢が現れた時は「やってみたからこそ今この選択肢があるんだ!」と嬉しくなるし、ちゃんと前に進めている証のように感じられる。

それに、折角目の前に選択肢が現れたのに、心の声よりも周りの声を気にして決断をするのは、まるで他人の人生を生きているような気がしてしまう。

初めて勤めた会社を退社すると決めた時は「これからなのに勿体無い」と言われたし、19歳でブランドや会社を作った時は「デザインも経営も勉強してきてないのにいきなり始めるなんて絶対大変な思いをするよ」と言われた。

もちろんそういう側面があることもわかるし、私のことを心配して言ってくれている意見だということもわかる。誰かから見たら私が選んだ道は大変で険しいように見えるのかもしれない。それでも、私は常に自分の心に従って選択をし、大小問わず色んな決断をしてきた。

なぜか昔から、大変なのはわかるけど思わず心が躍っちゃうこととか、やってみなきゃわからないこととか、そういうものに無性にワクワクしてしまう。簡単に想像ができてしまう未来よりも、1ヶ月後、1週間後、明日の自分さえも想像できないような道を進むのがたまらなく好きだったりする。

そのおかげで、先が見えないウェズコロナ時代に突入しても、決して悲観的になることなく、自分らしく前に進むことができていたりもする。

誰かが運転する人生の助手席に乗るのではなく、自らがハンドルを握り運転席に座って自分の人生を生きるためには、まずはその勇気が必要だし、選択や決断は避けては通れない。

やりたいことで溢れてしまった時、あれもこれも完璧に!というのはなかなか難しい時もある。そんな時は何かを手放すのもありなんじゃないだろうか。

「自分には合わないかも?」と思ったものはいっそのことやらなくてもいいんじゃないだろうか。

なにかを手放すと、新しいことがふわっと舞い込んできたりもする。

そんな新しい風や予期せぬ出会いをこれからももっとたくさん楽しみたい。


武藤千春

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武藤千春 Chiharu Muto
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