〈もの思い日記〉1111*文字がそこへ連れていく。

私は書き言葉があったおかげで上手く立ち直れた人間だと思う。
話すことが苦手で、自分の思いを伝えることが苦手で、話すタイミングを汲むのも苦手。苦手意識が強いあまりに失声症になった。
でもだからこそ、私は書き言葉を武器にして、メッセンジャーにした。必死に書いた。
伝えたいことが届かないこと、理解されないことに毎日苦しんだけど、書き言葉を武器にして私はようやく生きる自信を少しだけ見出した。

私は常にわかってほしかったし、届いてほしかったし、理解されたかった。取り留めのない思いたちが、誰にも伝わることの無いまま、どこかへ流れていってしまう痛みを感じすぎた。痛みを感じなくなるまで。

書き言葉で投げることで、留まる言葉があって、その言葉が誰かへ伝えてくれる。流れていかない思いがある。すごく嬉しくて、呼吸をするように書いた。

そうやって、人生に言葉を置き続けた。そうやって、人生に活路を見いだした。私は生きてるんだって、ちゃんと存在したんだって示したかった。

ライターの仕事をはじめて2年ほど。同僚のお兄さんにプレゼントしてもらった言葉がある。

文字がそこへ連れていく。

あなたの文章はまさに「読み手をそこへ連れていく文章」だと伝えてくれた。
難しいことはわからないが、とてもとても嬉しくって、寒空の下でスキップしたことはよく覚えてる。

こんな駄文では自分しか連れていく力しかないけど、それでも押し上げてくれる力があるんだと知った。

私は生きてる、存在しているという叫びが誰かの生きる希望になったように。
そして伝えたい思いを情報にして届けた先に仲間に出会えるように。
様々な想いで置いてきた言葉たちが、様々な想いを持った人々を連れてくるように。

今日書いた言葉が、誰かを連れていく言葉であるように。日々想いを載せて紡いでいく。

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