《ものおもい日記》0817*変わったり、残ったり。
「そんな落ち込んでるなら、私とデートしようよ。」と言って、誘ったチームラボプラネッツ。
軟派な男のセリフと思うが、発したのは私であり、相手は10年来の可愛い女友達である。
我慢することばかりを覚えて、誰も教えてくれない社会のルールばかりを学んで、ゆるそうに見えて荒い社会の波に揉まれ続けて、私たちは大人になってしまった。
色っけも無く、390円のカラフルなタピオカで2時間語りあった頃は、もう昔。
髪の毛は染めて、前髪は伸びて、ブラウンとレッドのリップをマスクの裏に潜ませる。
電車に揺られることにも、満員電車でおしくらまんじゅうすることにも、何も新鮮味はなくなってしまった。
でもどういう訳か変わらないこともあって、
距離間であったり、テンポ感であったり、吐き出す感情であったり。
あぁ、ちゃんと私たちは私たちである。
そんな当たり前のことを確認してしまう。
窓の外からは田園風景、窓から入る草木の香り。当たり前のスタート地点。
大都会だったはずのさいたま新都心。
今から東京に行くんだと高揚させるキラキラした荒川。
すべてが慣れきった当たり前の風景に変わってしまっていた。
電車の中では気づかないが、今はヒシヒシと思う。私は変わっちゃっている。
時たま背中を揺らしながら豊洲へ向かっていく。
話したり、やめたり、スマホ見たり、やめたり、寝たり、やめたり。繰り返して。
居心地が良いのだ。
別の人の腕の中にいようがいまいが、この変わらない空気感は特別。
毎日混み合う池袋駅で乗り換える。
人にもぶつかるが、会釈して、お互いを見つめあって、眉を引下げながら笑う。
一駅、また一駅と通り過ぎる度、「あともうちょっとだね!」とはしゃぐ私たちは可愛かったはず。
綺麗なものを見たいだけでここまで盛り上がれる私たち、きっと可愛い。
豊洲でお昼ご飯を探したり、プランを練る時間だって、愛おしくて、楽しい。そうでしょう。
君は可愛い。あい変わらず。
豊洲駅からチームラボプラネッツまでは、豊洲公園を抜けて、ずっと歩いていく。
そこそこな青空と、じわじわサウナ気分な熱風、遠目で見える海。
海が見える場所までたどり着いちゃった。
「将来は海辺に住みたいね。」
なんて、本当か嘘か分からない話をして、進んでゆく。
落ちているマスクたちが、何故か置いていった憧れのように見えたのは、ここだけの話。
子どもたちがはしゃいでいる。
薄暗闇に光が瞬く。
目の前の美しさと、子どもの声が、
三歩先に見える子どものふくよかなあんよが、
何故か、頭に残った。
大人になったんだ、なっちゃったんだ。
でも、大人気分を忘れて、はしゃいだ。
お互い向かい合って、笑った。
薄暗闇で伝わる感触、夢心地な世界観。
きっと、色々な日常から距離を置くきっかけになったでしょう。
帰り道「豊洲公園で景色眺めたい」と行った彼女に着いていく。
まだ暗くならない午後5時。奥にビルが見える海。キラキラしていた。
「これくらいの空が綺麗だよね」と微笑んだっけ。
真っ赤な夕焼けよりも、柔らかいオレンジが溶け込んだ空の方が好き。
染まらなくていい、まじわって、あいまいで、それくらいで綺麗。
歩きながら、フラペチーノ談義をしちゃうのもお決まり。
ロマンチックは味わいながらも、花より団子。美味しいものは好き。
フラペチーノを片手に海辺に戻る。
クリームが熔け、フラペチーノも簡単に吸い上げちゃうくらい、語り合ったね。
会話だって、昔とは違う。
考えられないくらい大人で真面目な話もした。
受験で頭がいっぱいだった私たち、学校の空間がすべてだった私たちとは違う。もう違う。
まだまだ若いけど酸いも甘いもあった人生、今の私たち、幸せなのか。
幸せなんて、わかんないよ。
懐かしいに変わってしまうことも、憧れが事実に移っていくことも、なんだか儚いのに。
幸せなんか、わかるはずない。
私は来年の春から豊洲に通う。
「この景色も当たり前になっちゃうんだろうな。」
呟いてしまった。
「なんか悲しいね。」
慣れてしまうこと、憧れが当たり前になること。なんだか物悲しい。まだ経験が浅いから。
何も変わらないなんて、嘘っぱちで。
でも変わらないことに、安堵して。
それでも変わることが、幸せに繋がったりして。
変わっていく時に、抜け落ちた穴に痛みを覚えたり、
残ってしまった、その周りになんだか物悲しさを得たり。
違和感が、また当たり前になって。
当たり前が懐かしいになって。
変わったり、残ったりして、
知らないうちに「久しぶり!」と言い合うようになるんだろう。
今はまだ、分からない。
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