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【003】日本語教育のデジダル化を考える:新徳雅隆先生

日本語ピクニック勉強会の第三回が開催されました。
月に2回、日本語教育をあらゆる視点から学び、自分の視野を広げたい人にとって、この勉強会はとても意義があるものだと思っています。

本日、ご登壇された先生は、新徳雅隆さん(以下、まささん)。
テーマは『日本語教育のデジダル化を考える』でした。
トピックは、①教育をデジタライズすると、どういう形になるのか、②仕事のフローをデジタライズするでした。

「デジタル」という言葉に対するアレルギー

『デジタル』って聞くだけで、とても難しく思ってしまうのは私だけではないはず。実際、今日参加された受講生の皆さんも「私はアナログ人間だから」「なんとかオンライン授業はやっているけれども…」と、どちらかというと弱気な発言が多く聞こえてきました。

そもそもなんですが「デジタル」という概念がよくわからない。言葉を聞いただけで、頭の中で難しいと反応し拒否してる(笑)。たぶんコレ系の話を聞くときに、聞いたことはあるけれど、本当の意味を知らないから自信がないんでしょうね。これは、どうしたものか(苦笑)。

で、何回も動画を見て、言葉を調べて、やっと理解ができた私が今日のセミナーで学んだことは、この3つでした(まささん、本当にすみません、出来の悪い受講生で!)。

1.自作の教材をオープンソースにする意味
2.デジタルの強みは抽象化が強いこと
3.バケツの穴をいかに塞ぐか


1.自作の教材をオープンソースにする意味

非常に印象的だったのが、自作の教材をオープンソースにするということでした。オープンソースとは、教材などを一般公開して、自由に使ってもらう仕組みです。この教材にフィードバックが得られれば、教材ではなく、教材のその先にあるものをマネタイズするのだそうです。
私はふと疑問に思いました。

「教材のその先にあるものって何?」

これが最先端を目指す日本語教師たちが考えていく必要があることなんでしょうね。しかし、それ以前に私たちには大きな課題があります。オープンソースにしたい教材の質をあげることです。
まささんは言います。

「良いオープンソースの定義はドキュメントがしっかりしていること」

「なるほど。じゃあ、しっかりしたドキュメントって何だろう?」
私は、また疑問に思いました。

しっかりしたドキュメントは、①どういう目的のドキュメントか、②だれのためのドキュメントか、③どんな使いかたをするのか、④質問の場所はあるかを考えて作ったモノのこと、そして、これは誰が読んでもわかって使える内容にしておくことが重要ということでした。

簡単そうで本当に難しい。私にとってチャレンジではありますが、これらを念頭に今後の教材作成に臨みたいと思いました。


2.デジタルの強みは抽象化が強いこと

一度で理解できなかったこの言葉。でも、理解できた瞬間、私の目の前がぱーっと明るくなったのは言うまでもありません。LIVEで聞いて分かった気になっていましたが、一日経つとよくわかっていないことに気づき、何回も動画でその個所を見て、ようやく腑に落ちました。

これは確か参加者の一人Aさんのコメントから始まったと記憶しています。
「ある程度型通りに教材を作って、同じレベルのクラスに使おうとしても、やはりそれぞれのクラスには違いがあって、結局、作り替えていくので、準備に時間がかかってしまう」

私もその話を聞きながら、そうそうと頷いていました。そして、まささんがコメントします。おそらく本日みなさんの心に、一番刺さった言葉なんじゃないかと思います。

「デジタルの強みは抽象化が強いこと。だから、デジタルをうまく使えば、非合理な部分に時間をかけることができる」

そして、あこさんが「私がやりたいことは非合理的なことなんだ!」言っていたのも印象的でした。あこさんと言えば、日々、本当に多くのツールを駆使したDXを考えていらっしゃるのですが、私は必死にそのようなツールを使いこなさないといけないと思っていました。しかし、そこが本質ではなかったんだということに気づかされました(←おそい‼)。実は、今回のセミナーで、最先端の日本語教師になろう!という根本的なものが見えた気がしています(←おそいPart2‼)。


3.バケツの穴をいかに塞ぐか

バケツにいくら新しい水を足してもそのバケツに穴があいていたら水は溜まりません。集客もそれと同じでどんなに集客をがんばっても既存のお客さんがどんどんやめていくようでは意味がありません。まずは今いるお客さんの継続率をあげられるように、どうしたら長く続けてもらえるか考えよう、という話でした。

フリーランスとして働く日本語教師の仕事にはフローがあります。
自分の存在を知ってもらい、どうやって集客し、また顧客にリピートしてもらうか。そのフローを作るには、順番が大事。そして、フローが完成すると、バケツの穴をどうやって塞げばいいかわかります。

たとえば、リテンションで工夫することの一つに「教育そのもの」があり、リファラルの一つには「口コミをして貰えるだけのコアバリュー」という項目があります。私たちは日本語教師なので「教えること」が大事なコアの商品です。ここをおろそかにすると、とくにバケツの大きい穴を作りかねません。

今まで教えることだけを考えていた私にとって、この話は視野を広げ、新しい知識を与えてくれました。フローと教えることが切っても切り離せない関係だとわかり、少しだけ大きく見ることができるようになったと思います。まずはできることから。自分の授業内容、教材を見直し、大きなバケツの穴を作らないようにしていきたいと強く思いました。


おわりに

毎回のことですが、先生の話を聞いて視野を広げ、みなさまといっしょに議論することで実践につなげることができ、有意義な時間を過ごすことができています。多くの学びが得られるのは、みなさまのおかげです。今回も心から感謝しております。

第4回は、8月24日(水)19:00開催になります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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