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グラフィックデザインの時代は、終わった。

れもんらいふをつくって11年、
スタートから手伝ってくれていた社員の
ゆいゆいこと永瀬由衣が先日、卒業した。
寂しさもあるが、日向坂46のCDジャケットやTBSのドラマなど、ゆいゆいならではの特徴をつかみ卒業できたことは、れもんらいふの10年も間違ってなかったんだなと心強く思います。
卒業祝いにサプライズで作ったドラマは、近々チャランポランタンのYouTubeで配信予定なので、ぜひお楽しみに😂

2020年末に放送された、デザイン業界のあるあるを描いたテレビ東京の深夜ドラマ「東京デザインが生まれる日」がベースとなっていて、
独立を志す人にとっては面白い内容のドラマになっています。

このゆいゆいが辞めたタイミングは、
ある意味デザイン会社としての仕組みが過渡期にあることを示している気がしてなりません。
ドラマを作った2020年から、たった2年でも全然違う気がします。

グラフィックデザインという仕事はビジュアルの「表現」であり、計算式が立つ仕事でもないし、ルーティン化するのも難しい。
その都度ギリギリまで持てる知識とアイデアを絞り出し、新しい表現を求めていくので、納得いかなければどこまでも考え直すし、終わりがない仕事だといえます。
それを指揮するアートディレクターも大変だし、ついてくるデザインアシスタントも大変。

ただ、ここ数年、それがすべてなのか?
とも感じるようになっています。というのも
15年前、修行中の頃の僕は、徹夜して徹夜して、とにかく「修行」という名のもとに「表現」を突き詰めていました。漢字ドリルのように、数ミリ単位でタイポグラフィを検証していく。
確かに今もその作業は、今の僕の骨や血になっているし、間違ってなかったと思う。

ですが、
最近違和感を感じているのは、
その「表現」だけに力をそそぐこと。
10年前にれもんらいふを作った頃は、
今のようにSNS普及していない時代。
ポスター、チラシ、CDジャケット、雑誌、本、パッケージ、TVCMと、
何十年もずっと与えられた枠の中で、デザインという「表現」をすればよかった時代です。

だが今は全く違う。
その「表現」のメディアすら、考えていかないと生き残れない時代に変わった。
テレビ局が衰退し、若いZ世代は、TikTokをメインメディアにし、CDは配信にかわり、紙はweb広告にかわった。実はまだそれを現実として受け入れきれていないのがデザインの業界。
TVCMをカンヌ広告賞に出品し、ADC賞は、まだまだポスターや新聞広告を評価し、TikTokなんてダウンロードしたこともないです(笑)なんて人もたくさんいます。

って、
そんなことをやっていたら、ほんの数年の間に、
電通、博報堂がずっとトップで戦っていた広告事業は、ついにWEB広告がメインになり、サイバーエージェントが追い抜いて、トップの広告会社になってしまった。
それは何を表すかというと、広告、デザインの「表現」は、グラフィックデザイナーのものではなく、時代をよみとれた人の「表現」場と変わったのです。

僕は、この状況、実に面白いと思う。

僕たちグラフィックデザイナーは、これから、
何をすべきなのか考えていかなくてはいけない。
サイバーエージェントは、AIのアルゴリズムによって広告表現を作っている。
何がどれだけ人に刺さって、どれだけの効果が得られるかを過去の例から弾き出す。

サイバーエージェント「広告王」になった理由

そう、クリエイティブディレクターが考えなくても「正解」を生み出せ、最大の利益を得る方法を編み出せるのだ。
そのアルゴリズムの台頭、メディアの崩壊。
その中で、今までの仕組みだけで生き残っていけるのか考えていかなくてはいけない。
今までのやり方では、もう時代おくれなのだ。

れもんらいふはよく、
変わったデザイン会社ですね。と言われる。
「なんでもやりますね」とか、「SNSで告知頑張ってますね」とか「なんでラジオやるんですか?」とか、「映画?」「喫茶?」「もう、デザイン会社じゃないじゃないですか(笑)」
とかとか。

今の時代に、肩書きにハマる仕事なんて逆に必要なんでしょうか?
SNSでPRしないアートディレクターが、本当に広告のことをわかっているんでしょうか?
グラフィックデザインは大好きです。
憧れた人もたくさんいます。
それが素晴らしいのもわかります。
2000年ごろ、僕に道筋を作ってくれたのは
グラフィックデザインです。

AIの台頭?面白い。
TikTokの「やってみました」?面白い。
でも、もっと面白いことをやってやるぞって思っている。
もちろん広告の芸術的表現もなくなりはしないだろう。
職人的アートディレクターもより際立っていくだろう。
時代を牽引するクリエイターも、もちろん必要だし、アートディレクターも、グラフィックデザイナーも柔軟な考えを持つ人は、生き残っていくだろう。
今、脳を切り替えれたら、ポスターじゃなくても、TVCMじゃなくても、どんなメディアも「表現」の場です。
よりデザインが自由になるということです。
もう、どんなジャンルも飛び越えて、
デザインの戦国時代が始まったのだ。

周りのアートディレクターやグラフィックデザイナーが、れもんらいふって何やってんですか?(笑)って言う間に、
僕は次へ進みたいと思う。

憧れたグラフィックデザインの時代は終わった。
さあ、
ここから僕の戦いがはじまる。

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