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【1分で読める小説】 その1 マスク警察

俺は正義の味方、不織布マスク警察だ。ちょっと前まで自粛を命じる自粛警察だった。今は世の中のため、不織布マスクを推奨する活動を続けている。今日はわざわざ隣町のスーパーまでやって来た。おっ、いたいた、無知なウレタン野郎が。

「ウレタンマスクの飛沫量は50%。不織布なら20%しかない。そういうエビデンスも知らない愚か者が外出してんじゃねえっ!!」俺がウィルス拡散者を成敗していると、騒ぎを聞きつけて警官がやってきた。まあ、よくあることだが。

「おまえを傷害未遂で逮捕する」「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺は注意しただけだ。手は出していない」「至近距離からの20%飛沫は十分傷害に値する。不織布マスクによる発話者は罰せられるのだ」そう言うと警官は俺に手錠をかけた。

警官の顔には不気味な冷たさがあった。医療用の立体マスクが隙間なく固定されている。でも、よく見ると制服が警視庁のものとは微妙に違うような。「あんた、警察じゃないな。まさか…」「そうだ。正義の味方、サージカルマスク警察だ」

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