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大嫌いだったけど

体調を崩した前職で、すごく嫌だった仕事があった。

ルールを作る、という仕事。

会社が大きくなっていく途中で、ベンチャーにありがちな中間層がいない会社だったから、若手社員の意識を正す標語みたいなルールを作れ、と言われた。
なんていうか、電通の鬼の十則みたいなやつを作れ、と。
当たり前なことを、わざわざマネジメントで教育しなくても会社として「間違ってるよ、それ」という行為を明文化することによって、手間を省きたい、とのことだった。

「トップダウンでもいいけど、ボトムアップで作って欲しい、例えばこんな感じの〜」というボトムアップしろトップダウン命令で、上の意向を汲みつつボトムアップっぽく作った。
(そして、最後に本当に本当に本当に嫌だったけど、作ったルールを印刷して社内の壁に貼りまくった。よくあるブラック企業オフィスを自分の手で作り出してるみたいで、悲しいような面白いような複雑な気持ちだった。いやほら、トップダウンでね、やらないといけない時ってたくさんあるじゃない)

中身は、確かにね!というものから、このご時世そんなこと言う企業あんの?というものまで、幅広いラインナップだった。
最初から最後まで、何一つ楽しめない仕事だったけど、ひとつだけすごくいいなぁ、というルールがあった。

仕事のクオリティやスピードを自分好みにしない。

(正確にはちょっと違うんだけど、身バレしたら流石に嫌だからニュアンスが伝わる程度に変えてます)
仕事って基本的には一人で完結しない。だいたい依頼主がいることが多いなかで、仕事のクオリティやスピード感を自分の好き勝手にしない、というもの。
要は常識の範囲内で、クライアントの求めるクオリティとスピードで仕事をしなさいね、ということだった。例えばメールの返信ひとつ取っても、自分の好きなタイミングで返信するんじゃなくて、できる限り早く返信しなさいね、みたいな。

最近転職して、前よりはかなり仕事ボリュームが落ち着いた状態で仕事をしているせいで、全体的にスピード感がないなぁ、と感じ始めていた。前は片っ端からさっさとやっつけないと無理ぃ!終わらない!!!みたいな状況だったけど、今はどれからやろうかなー、という変な余裕がある。
そのせいであまり仕事モードのスイッチが入らなくて、ダラダラ仕事をしてしまっていた。
なんでか分からないけど、今日の仕事帰り急に先述のルールが頭に浮かんで、これまでは相手のスピード云々考えなくても即レス即対応してたのが、今は変に余裕があるせいで即レス即対応できてないな!?と気がついてしまった。

あんなに嫌いな仕事だったのに、ひとつだけいいなぁ、と思っていたルールに自分の仕事っぷりを気付かされるなんて。
なんだか悔しいけれど、これを機に自分なりに「仕事のマイルール」を作って、その中にいれてみるのも悪くないのかもしれない。

おいしくお酒飲みます!ビール!