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初めて自分から進んで行った仕事。ゴミ箱をみがいて自信がついた

 シェアハウスの住み込み管理人である私の仕事は、大きく分けて以下である。

・ゴミ捨て
・水回りを除く共用スペースの掃除
・必要な物資の確認、注文、整理・メンテナンス
・郵便物や宅配便の受け取り、確認
・客人の応対

 今回は、先述したゴミ捨てについてもう一度語ろう。といってもご存じの通り、燃えるゴミや資源ゴミなどに分別してゴミを捨てているだけだ。週4回、種類ごとに業者が回収に来てくれる。シェアハウスの前に大型のボックスが2つあり、そこに入れるだけなのでほとんど大した手間はない。それこそ前の記事に書いた匂いの問題しかない。それも燃えるゴミの日に限る。

 専用の箱があるので、ぶっちゃけて言えば朝早くゴミを捨てなくてもよい。ご近所さんと場所を共有しているわけでもないので、前日の夜にあらかじめ入れておけばいいだけの話だ。なぜ私がわざわざ朝にゴミ袋を運んでいるかといえば、ひとえに生活リズムの調整に他ならない。精神の薬の影響もあり、私は時間が許せばどこまでも寝るタイプの人間だ。なので、こういった決まり事がないと毎日昼過ぎまで爆睡してしまう。それは健康によろしくないという極めて個人的な理由で、わざわざ朝に起きてゴミ出しを行っているのだ。

 しかしこの地域のゴミ収集車はたまにさぼる。木曜のびん・缶・ペットボトルの日は特にさぼられ、びんの詰まった大きなゴミ袋と金曜日に再会することがままあった。しかし私もそこで引き上げることはせず、入れっぱなしにしておいてしまうのでそこはお互い様である。次週にはだいたい回収されている。

 ゴミといえば。以前はコバエがたかってうっとうしいかつ不衛生だったゴミ箱だが、私が一念発起して洗浄したことにより元の美しさを取り戻した。それどことかコバエがほぼ寄り付かなくなり、快適に燃えるゴミを捨てることができる。私が管理人になって初めて自主的に行った仕事が、ゴミ箱を洗うことだった。

 住民グループLINEに「ゴミ箱を洗っているのでゴミは袋の方にお願いします」と一報を入れ、玄関先のホースと雑巾を使って徹底的にみがき上げる。八月中旬の猛暑日の昼だったため、ホースの水に混ざって汗がボタボタと滴り落ちた。赤いTシャツには広大な汗染みが広がる。ほんの二か月前までものぐさニートだっただとは思えない。

 臭いゴミ箱を徐々に清めていく最中、私は心が淡く光る液体に満たされていくのを感じた。それはおそらく26年間生きてきて枯渇していた自信とか自尊心とか、そういうものだったのだろう。ある程度の重労働だったにもかかわらず、私は終始よどみない動きでゴミ箱を洗浄することができた。アルコールジェルで除菌したあと、太陽光の紫外線に少しあてたのもよかったのかもしれない。コバエは劇的に減り、うんざりすることもなくなった。些細な仕事だったが、誇れる経験の一つだ。ゴミ袋を入れ替える作業も格段に快適になったので、これからもゴミ箱の掃除は定期的に行っていきたい。

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