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こたつに集いし者たち

 十一月下旬から、シェアハウスにこたつを設置している。リビングにあるテーブルの天板を取り、こたつ布団を挟めばもう完成。電源を入れればだんだん温かくなり、冬の最強暖房器具がここに降臨する。

 当たり前だが、みんなこぞってこたつに入りたがる。生活リズムがバラバラのためあまり顔を合わせない人同士もいるのだが、この前はこたつに全員集合していてビックリした覚えがある。あまりにも珍しいため、ぜひ写真を撮りたかった。

 では、こたつに集って何をしているかというと。

①仕事
 ノートパソコンやアナログの筆記具で仕事をする。私もこたつでこの文章を書いている。作業部屋はなぜだかエアコンの温かい風が入りにくいため、わざわざこたつに移動して作業したりミーティングをしている。

②食事
 普段は自室で食べている住民も、こたつの温かさに吸い寄せられてリビングで食事するようになった。ただし、片付けが中途半端なときは私が管理人として一言口を挟むことが多い。

③テレビ
 若者のテレビ離れが叫ばれて久しいが、たまにこたつに入ってテレビをぼんやり見ている住人に遭遇する。クロームキャストも完備されているため、アマゾンプライムなどで配信されている映画を大画面で見ている人もいるようだ。

④談笑
 最近食べたうまいものから恋バナまで、何人か集まればそれなりに話の花が咲く。住人の経歴や生活は十人十色なので、喋ることによりさまざまな化学反応が生まれて非常に興味深い。

⑤寝落ち
 風邪をひくためあまり推奨していないが、それでもやっぱりこたつでの寝落ちはサイコーである。だって温かいもん。

 パッと思いつくのは上の五つぐらいだろうか。元々リビングの持ちうる機能が、こたつによって大幅に強化された形になる。

 こたつを出してから仲良くなった住人たちが、押し入れの奥からクリスマスツリーを引っ張り出して飾り始めたのには驚いた。さらには自費でLEDライトを買ってツリーを電飾で彩るつわものまで現れるのだから、きっとツリーはこたつに頭が上がらなくなっているだろう。

 シェアハウスは木造建築の純和風な作りなので、こたつに加えて庭に生えているみかんをもいで並べると、完全に正月である。「実家より実家感がすごい」と評判の弊シェアハウスなので、クリスマスを飛び越えてお正月感を醸し出すなんてお茶の子さいさいだ。

 ちょっと怖いのが、春になってこたつをやめるときである。こたつという絶対的な魅力が欠けた夏のリビングは、そもそもあんまり人が集まっていなかった。住み始めた最初は「へえそんなもんか」と思っていたけれど、こたつパワーにより集いし住人達が再びバラバラになってしまうかと思うと少し悲しい。

 いやしかし、夏から住民は入れ替わりが激しくなっていた。一度こたつで育まれた絆は、夏になっても有効かもしれない。こたつの力を借りずとも、仲良しでいられるかもしれない。いる場所はバラバラでも、今年より来年、来年より再来年とどんどん仲良くなれる可能性も充分にある。

 仲の良さだけを絶対視するわけではないが、どうせなら楽しい方がいいよねと思いながら私は今日もこたつでぼーっとするのであった。


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