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非サウナ業界の人間がサウナ施設貸切イベントをやってみて気づいたこと、学びになったこと【2】仮説とインサイト

サウナ業界の人間でもなく、サウナ歴はたった1年(産湯はチームラボ)なのにひょんなキッカケでサウナイベントを主催することになり、気づいたことを色々書いてみようと思います。これからイベント主催者になる人、多くの人を巻き込んで新規プロジェクトをやりたいと思っている人にとって少しでも参考になれば幸いです。


非サウナ業界の人間がサウナ施設貸切イベントをやってみて気づいたこと、学びになったこと【1】前回の記事はコチラ!

サウナがきっかけで始まる、フラットな人と人のツナガリ。

これをKEYコンセプトに据えました。とは言うものの、このままじゃ伝わりづらいので、もっと分かりやすくするためにどうればいいか?を考えていくことにしました。ちょうどこの時期、サウナをキッカケにして人と人がつながれるプラットフォームサービスを作りたいと思っており、このような仮説を立てました。

誰の?どんな課題を解決するのか

誰が
同じ好きの深さで話せる友達がいなくて困っている人が

このような行動を取っており
Twitterに「下北サウナタウンに行きたいけど一人じゃ行けない」と 書き込む

このサービスが代替行動をリプレースできる。
好きとスキマ時間で繋がり合えるサービスを提供すれば サクッと仲間を見つけて楽しい体験ができる。



興味あるイベントを発見し、行きたいけど、一緒に行ける人がいない問題を解決するサービスを作りたいと思ったので仮説を検証するためにユーザーインタビューを実施しました。(アンケート回答数は100人。インタビューは20人実施)

複数人でサウナに行く時、リアルの場で同じ趣味の友達を見つけるのは簡単ではありません。リア友にも家族にもサウナーはゼロ(涙)仮に友達がいたとしても、日程まで合わせるとなるとさらに大変。

TwitterやInstagramでSNSで趣味の友達を探すこともできますが、信頼関係を築くまである程度時間がかかります。セキュリティー面での安全が担保された状態で、このサウナに行きたい!と思った時にパッと簡単につながれるようになったら、もっと貸切サウナやアウトドアサウナに行きやすくなるんじゃないかと思ったのです。

仮説検証の一貫として、サウナ用のアカウントを作り、実際にSNSを通じて何人かの人とサウナ前で待ち合わせして一緒に行きましたが、めちゃくちゃ楽しかったです!!

サウナは基本、自分のペースで入るのでバラバラ行動になりますが、終わった後オロポを飲みながら「今日の外気浴よかったですねー」って言えるのが幸せです。SNS上で出会ったサウナ友達なので本名も職業も家族構成も何も知らないけれど、サウナについて同じマニアックさ、熱量であーだこーだ語り合えることがどれほど最高な時間なのか。出会ったばかりなのに、「分かち合えている」と言う感覚がすごく心地いい

仮説検証の結果に大ショック!

でもこの感覚、私だけなのだろうか?独りよがりな感覚でサービスを作るとユーザーが誰もいない悲劇を招くので「そもそもサウナを複数人で行きたいと思えるのか?」と言うところからインタビューしました。すると衝撃の結果が明らかに。。。


ほとんどのサウナーの方は「サウナは一人で行く」「サウナのペースが合わないと気疲れする」「リラックスしに来ているのに、わざわざ気遣いしたくない」と、誰かと一緒に行くことに否定的な意見がほとんどでした。


ガーーーーーーン!!!!
ショック。。。

私の仮説は失敗だった。もうここで終わりか、、、とガックリ項垂れていました。そりゃそうか。見知らぬ人と一緒にサウナに行って「ととのったー!」って新しいツナガリを描く私の思考がおかしいのか。婚活目的のマッチングアプリや副業のスキルシェアプラットフォームは匿名のままできるけど、お金や恋愛の価値と価値の交換という明確な目的があるから成り立っている。分かち合うという情緒的体験そのものに価値を見出すことは、見果てぬ夢なのだろうか。。。

もう終わりかと思いきや、意外な事実を発見!!


それでも私はどうしても諦めきれなくて、いろんな資料を読みあたり、手がかりになりそうなものに片っ端からアクセスし、サウナイベントやサウナのお誘いにも沢山行きました。サウナを楽しむのはもちろんですが、生の声を一つでも多く拾い上げたかったからです。遊んでいるみたいに思われますが、私の中では実地(サウナ)の中で仮説検証をしている意識でした。

そしてある日、ユーザーインタビューの記録をもう一度じっくり読み返していると、ある事実に気がつきました。

サウナに行く人たちの利用シーンは、大まかに分けて二つ。

利用シーン1
・仕事が終わった後、サクッとサウナに行く。

利用シーン2
・新規開拓したり、遠征サウナに行く。

この違い、お分かりになりますか。前者は疲れを取ってリラックスする目的。後者は非日常を求めにいく目的。おなじサ活でも、両者は全くの別物なんです!(よくマーケティングはペルソナ設定が大事と言われますけど利用シーンを正確に特定することが大事だとこの経験から学びました)

利用シーン1の場合は一人でサクッと行きたい。誰かと行くなら利用シーン2の時です。なぜなら新規開拓のサウナや遠征サウナは行くこと自体が冒険です。行くハードルが高いので誰か一緒に行ってくれる人がいると行きやすい。

それに加えて非日常の体験を求める時のインサイトとして「フェス感(祭りっぽさ、高揚感、非日常のときめき)を味わいたい」があり、感極まったさ時にそばにいる人と共に分かち合いたくなる。と読み解きました。イベント名を「富士サウナまつり」にしたのも、このインサイトに基づくものでした。

心地よいサウナ、美しい景色の外気浴、冴わたる味覚で味わうサ飯とビール。感動の連続を味って気持ちが最高潮になった時、隣にいる人と感動を思わず分かち合いたいと思うのは人間にとって極めて自然な現象ではないだろうか。

諦めかけていたけど、この仮説はまだ生きている!そこでインサイトをベースにしたストーリーを組み立てました。もっときちんと書くならカスタマージャーニーマップになるんだろうと思いますが、より感覚的に書きたかったのでストーリー形式にしました。


インサイトに基づく分かち合いのストーリー

サウナに行く人を募る
一人じゃどうしても行けない事情があって身近な人間関係で誘っても一緒に行ってくれる人がいなくてSNSで声をかけて一緒に行ってくれる人を募った。

どんな人来るのかな。参加メンバーをなんとなく調べる
面識はないけど、たまたま集まった人たち。一体どんな人たちなんだろう。
過去のインスタを見て人となりをなんとなく押し測る。何やってる人なのか分からないけどうん、悪い人ではなさそうだ。安心安全。それでも、サウナが楽しめればそれでいいや。サウナファーストのノリで行く。

体験当日。初対面のサウナーが集結する
いざ行ってみたら、サウナはもちろん期待以上に素晴らしくて たまたま偶然一緒になったメンバーと、サウナの体験をシェアしたら思いのほか話が弾んだ。!初対面とは思えないぐらいに。

分かち合えた余韻が残る
次もまたご一緒しましょう、と言って駅でサヨナラする。帰りの電車の中で、今日行ったサウナの様子をインスタのストーリーにUPして 一緒に参加してくれたメンバーのアカウントもタグづけ。 サウナで一緒に味わった、あのフェスのような余韻が続く。また行きたいなぁ。一緒に。


こんなふうな体験提供をできるサービスを創れたらいいなぁと思っていたところ、ちょうどタイミング良くサウナイベントのお話をいただけたのでこのストーリーが実現できるようなイベントにしたいと思いました。サーマルクライムは、都会の喧騒を離れ、非日常を求めている時にピッタリのサウナ施設。私の描いたインサイトを当てはめてみても十分に機能するんじゃないかと思いました。そんな経緯もあり、サウナイベントのコンセプトは「ととのって、そして分かち合う」になりました。




サウナの告知文を書くときも、ととのったその先にある分かち合いに価値を感じてもらえるようにコンセプトを文字や写真に散りばめました。分かち合いをキーコンセプトにしたのでサウナコンテンツもそれを意識しました。

・4人組のチームを作り、アテンド役がサウナの入り方や会話をサポート
・BBQにしてみんなで取り分けるスタイル
・ビンゴゲームをする


せっかく参加したサウナイベントで周りがワイワイ盛り上がっているのに自分だけ一人ぼっちだった寂しいし、気まずい。それだけは避けなければ、と思いました。一人参加でも周りと自然に溶け込めて、帰りにはSNS交換してサウナ友達ができる!そう願ってサービスを組み立てました。



しかしこの壮大な計画、どうやって実現するねん。。。。
私だけではとても出来そうにないので、サウナを愛するメンバーたちの協力を仰ぐことになりました。次回はメンバー紹介とイベント当日の様子が分かる写真とみなさんのSNS投稿などをお伝えできればと思います!

またまた長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

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