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適切な接遇をおこなうことは「きどっている」のか。

地域医療連携室にいると、とにかく電話は多い。
そのなかで、どうしたものか、と思う電話があります。

わたしは、大概、「なにをいっているのかわからない」電話をされるかたにたいしても寛容な方だと思います。
なにがほんとうのところおっしゃりたいのか、紐解く作業は嫌いではないから。

今回、きた電話は、在宅から自宅以外の療養先へ移られるかたの支援をさせていただいた際のケアマネジャーとのやり取り。
入院中の患者ではありません。

ケアマネジャーの依頼により、医師に依頼して、紹介状作成し、当方からその施設に情報提供させていただいていました。

その後どうなったかわからないまま経過。経過確認のため、先週電話を差し上げましたが不在で、折り返しのご連絡がはいるはずだったのですがが、1週間音沙汰なし。

相手先の施設からの連絡もまだなし。
気になって、わたしが先方療養先へ電話したところ、私たちが処理した書類審査は通っており、
あとは在宅からの入院なのでケアマネジャーと入院日調整だけですね〜。
とのお返事。

「ん?ということは、ケアマネジャーさんは、何待ち?」(心の声)

お願いして、(折電もなく)音沙汰のないケアマネジャーに連絡。

報告だけ終えて、突然ケアマネの口から出た言葉は、
「ところで、ADL票を書きに来いって言われてるんですけれど、、、、うんぬんかんぬん」と脈絡のないお話になりました。

「なんのADL票?
入院する予定の療養先から提出を求められたのか?
そもそも、それは私に対しての問いであっているの?」
心の声はどんどん、大きくなります(笑)

いろいろと思いを巡らせましたが、わからなかったので、

「なんのことでしょう?」と伺うと、
また同じことを繰り返されるので、(CM=ケアマネジャー)
(私)「今後はいられる場所からですか?」→(CM)「ちがいますよ」
(私)「当院でいわれたのですか?」→(CM)「そうですよ」
(私)「なんの書類ですか?」→(CM)「介護保険の」
(私)「介護保険のなんの書類ですか?」→(CM)「え~~~と、申請して、先生に書いてもらうから〜〜、ADL票を書いてくれって」。

一つの問いに、単語でしか返ってこない。
最後には、どんどん複雑になる。
私誰と話していた?(笑)
私の聞き取りがわるかったのか。

頭をフル回転。予想される状況を頭が弾き出してくれました。

(私)「介護保険の申請に関する書類を当院に依頼され、そのときに、窓口からADL票をかくように”当院”でいわれたのですね?」
→(CM)「そうです、、、、、ね」。

(私)「申し訳ありませんが、お申し込みに来られた先は書類係になると思いますので、お電話回しますね」

・・・・・・・・・・・・・さて。皆さんはどう感じられますか?

とてももうしわけないのですが、
主語も、だれがだれに依頼したものかも、書類の内容も明確に話せない、以前に、
自分の言いたいことだけ言ってしまう電話対応は、
社会にでてからの電話対応としていかがなものかとおもいました。

接遇研修や教育支援をしています。
以前介護関係の型との集まりで、「接遇研修ってなんか気取っていて、私たちとは別の次元の話。利用者さんもフレンドリーなほうがいいにきまっている」という話をされていた方がおられました。

接遇は、相手に対して、配慮することが大前提です。
忙しい窓口に、「どのように伝えるか」「どうしたらつたわるか」という
当たり前のことができず、主語もない訴えを、プロのケアマネジャーが
電話をしてきて、こちらがひとつひとつ紐解かないといけない、というのは
とても恥ずかしいことではないかとおもいます。

フレンドリーという意味とは、別次元の問題です。
そして、「フレンドリー」は自分にとってだけ楽、ということになっていないか。ここは重要です。

「私はそんなこと気にしないよ」と言っても、それは私、と誰かの関係性にのみ成り立つことかもしれません。

最近の若者は電話ひとつまともにかけられないといいますが、
こういった電話をしてくるのは年配の方が多いです。
意外に若者の方がしっかりしている。自分が電話が苦手と自覚し、
練習したり、事前に何をいうか考えて電話しているかもしれませんね。

この「自分を知っている」ということはとても謙虚で大切なことです。

今回のこのケアマネジャーさんは、以下の点が問題だったかもしれません。

・自分の担当利用者に関する件に、協力してくれた施設担当者や当院にどうなったか報告がなされていない。
・協力者が動いているのに、当の本人は動かずことが進んでおらず、せっかくの協力を台無しにするところであった。
・電話の際に、電話の相手に何を伝えるか、整理して連絡していない。
・電話の相手に伝えるべき要件であるかを、考えて、言葉を発していない。
・単純に、あったことのない方に対する(まだ信頼関係すらできていない相手に対して)やや失礼な言い回しをしている。
・電話で脈絡なく話すことで、相手の時間を奪っていることに気づいていない。

「フレンドリー」は自分にとってだけ楽、ということになっていないか。
これは重要なポイントです。

わたくしは、
日頃のコミュニケーションでは、
相手にとってどうか、をかんがえ、
それはその人の仕事だろうか、その人の時間を無駄に損なわないだろうかは
いつも考えています。
自分を客観的に見る訓練をし、相手にとってどうかを、きちんと考える。
(これは会社経営のための会議などでは、また別の見方が必要ですが)

わたくし自身も日々勉強です。
このケアマネジャーさんを責める気にはなりません。
できれは、「気づきの時間」を一緒に持てたらいいな、と思ったりするお節介です。

わたしの接遇研修は、相手を知ること、願いや思いの本質を知ることを、大切にしています。
気になられましたら、こちらのホームページへ。



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