あなたが生まれたきた理由
はじめに
みなさんにとって「家族」とはどういった存在でしょうか?
ある人にとっての家族は、人生の「土台」として、力強く自分を支えてくれる存在かもしれません。
またある人にとっては、自分が好きなことをしようとするのを邪魔する「足かせ」のような存在かもしれません。
30余年、ここ青森で数え切れないほどの相談に対峙してきましたが、実は人の悩みというのは「他人対自分」の関係性における悩みではなく、家族という閉じられた空間の中で生み出される場合がとても多いのです。
家族という近い関係性だからこそ生まれる憎しみ、嫉妬、憎悪というものは、目を覆い隠したくなるほどに凄惨な揉め事を引き起こします。日本においては、殺人事件の6割が家族間で起きているという事実もあります。
実際に手を出さなくても、心の中で非常に強い憎悪を持っている方というのは少なくないのです。
私はこれまで、拙著やメルマガで事あるごとに家族のことについて書いてきましたが、それは家族(両親)がいるから自分はいまここに存在しているはずなのに、なぜこれほどまでに憎しみ合ってしまうのか? なぜ、家族間で殺人事件のような悲しい事件が多発してしまうのか? そういった現実に向き合わなくては、いつまでたっても家族間にはびこる憎しみを消すことはできないと感じているからです。
今回は、これまで書き溜めた原稿の中から、「家族」にまつわるものをまとめてエッセイの形にしてみました。
この機会に、「家族」について今一度、考えてみてはいかがでしょうか。
【家族は運命共同体】
人は独りで生きているのではありません。多くの人との関わり合いの中で生きています。とくに家族との関わりや関係は人生を左右する大きなもので、もっとも大事なことのひとつです。なぜなら、家族とは血縁以上の深いカルマでつながっている〝運命共同体〟だからです。
家族は友人や職場の同僚、そしてご近所さんといった〝他人〟ではありませんから、人生における長い時間を共にしますし、私生活に関するとても個人的な事柄も共有します。心理的な距離がほかの誰よりも近いのです。
ですから、本来なら家族は〝運命共同体〟 として、協力して人生を歩んでいくべきなのですが、私はこれまで、家族に関係した、家族だからこそのご相談もたくさん受けてきました。相談内容は「介護」、「子育て」、「夫婦や親族との関係」などさまざまですが、家族という深い仲であるがために問題の根が複雑で深い場合が多いように思います。
なぜなら、家族とはひとつの〝閉じられたボックス〟のようなもので、部外者が立ち入れない独自の習慣や物の考え方、立場や役割があります。そういったものは家長が意図していなくても、知らず知らずのうちの子に引き継がれ、またその子に引き継がれて代々続いてきているのです。そうなると、たとえ〝悪いもの〟が引き継がれていても、引き継いだ者にとってはそれが普通であるので、〝悪いもの〟だとわからないのです。
これを人間の体でたとえるなら、肝臓や腎臓といった毒素を浄化する器官が、毒素を毒素として認識していないため機能せず、毒素がずっと体の中に残ってしまっている状態と同じなのです。こうなると、いつか体 (家族) は不調をきたし、深刻な病気 (問題) となってしまいます。みなさんもテレビや新聞などの報道で、些細なことを原因にして家族内で悲惨な事件に発展したというニュースを見聞きしていると思います。
さきほども言いましたが、家族とは深いカルマでつながった〝運命共同体〟 ですから、家族の中で起きる問題はカルマに起因しているのです。このカルマ (問題) と向き合い解消するために、見合った魂が家族として集い生を受けたのですから、家族のみなが問題に真剣に向き合って解消することはとても大事なのです。今生でできなければ来世も同じカルマを抱えるでしょう。
こういった事態を解消する術は〝学び〟しかありません。〝学ぶ〟ことで〝悪いもの〟に〝気づく〟しかないのです。
ですから、私は常々みなさんに〝学ぶこと〟 〝考えること〟 〝考えた先にある気づき〟が大事だとお話ししているのです。
それは家族のみなで行うべきことですが、とくに家族への影響力の強い親が〝学び〟に対して自覚的にならなくてはなりません。
〝学びの種〟は日常生活の中にたくさんあります。友人や職場の同僚から聞いた話の中にも、映画や本の中にもあります。いろいろなことを経験して、見たり聞いたりして知識を得て考えるのです。子どもにも十分な学びの機会を与えて、考える習慣を持たせてあげることが必要です。そうすることで、自然と話し合いができるようになりますから、問題をうやむやにしたり、誰かに押しつけたりせず、〝悪いもの〟の新陳代謝ができるようになります。やがて家族が抱えるカルマも解消できるでしょう。
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