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書くことで、いまやりたいこと、大切にしたいこと

書く、ということで、いまやりたいと思っていることのひとつに、ひとつを詳細に語る、ということがあります。

深掘りされた緻密な表現は心に響いて染み入るから。その情景だったり、心理だったりの理解を深め、より読み手の深部の感情を揺さぶる。読み手の体験や経験を想起させ、作者が何を伝えようとしているかにシンクロすることができる。

そのシンクロの結果、読み手の頭のなかには、作者の意図した世界が広がり、作者が言わんとした世界をより深く理解することができる。

ある、猫を飼っているプロ作家さんたちが飼い猫のことを書いた本があった。いずれも名の知れた方たちだ。その顔ぶれの中には「バカの壁」の養老先生も名を連ねていた。

猫との生活とエッセイをそれぞれが2本ずつ書いた。突飛な話はひとつもなかった。

だけど、その本を読んで、やっぱりプロの作家になる人は、他愛ない日常のエピソードと思われることにも、心を動かす表現力があるんだな、と当たりまえかもしれないけど、思ったんだ。

そこには、飼い猫への尊敬や敬愛や感謝があった。人間と猫の絶妙な距離感が、猫好きなわたしの心をくすぐった。猫ってそうだよな。猫ってそこがかわいいよな。共感しながら読んだ。心を熱くした。ほっこりした。泣いた。

そのどの話も作者から見た猫の距離感が目に浮かんだ。懐かない子、ずっとそばにいて離れない子、世話のやける子、わたしの頭の中に描かれた猫の距離感は簡単に描け、作者と猫の関係性を想起するには充分だった。

その上で語られる、飼い猫へのエッセイは、好きだよ、とか愛してるよとかそんな直接的な言葉はなくとも、したためられたその文章に飼い猫への深い愛が感じられた。充分にどんなに大切に思っているかが伺い知れた。

売れている作家さんだから、発想は常人とは違うだろう、ひとより、人が惹きつけるものを書くのは、うまいだろう。ひとより、派手なものを書くし、緻密に表現するだろう。題材も凝っているんだろう。だからこそ、売れる作家になれるんだろう。そうかもしれない。そうだと思う。

だけど、この本を読んで、思った。

誰でもが扱える、同じ題材でも、ひとりひとりの作家が、それぞれで、こんなに味わい深く、心を揺さぶるメッセージを伝えることができるのか。と。

物語の突飛さや、目新しさ、面白さ、そんなことよりも、まず、たいせつにしないといけないことがあると思った。

まず、ひとつを追求して表現し、その表現で読み手の深い共感や、想像を想起させる練習をすること。しかもわたしなりの表現で。

今日雨が降っている。雨はどれくらい降っていて、どんな色をしていて、どんな音をして落ちたのか、その雨を見ているわたしの気持ちは?なんでそう思ったのか?その気持ちは、別の日に見た雨とどう違うのか?なぜ違うのか?

という風に、ひとつのことについて深く考えて、その表現が、どこかで聞いたような表現ではないわたしだけのものになるよう、注意することも気をつけて記したい。

わたしは一人称のストーリーを書くのが好きだ。一人称は、心の中の思いを描写するのが、面白いから。深く深くえぐるような心理描写をいつかしたいと思っている。それにはこれはきっと必須のスキルになるだろう。

それがきっと、あの作家さんたちのような、サラッと書いたように見えるけど、ちゃんと猫との関係性も愛も伝える、それぞれの個性のある文章として、さらに心を打つ文章に成っていくんだなと、信じてやまない。

いまはそれをやりたいと思ってるんだ。
今日の雨。まずは君からとりかかるとしますか。

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