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ボリューム満点の朝食ビュッフェ

休憩時間が終わる間際に、私は食い入るようにその記事を見ていた。

「レーザーポインターね」

と呟くと記事を閉じて仕事に戻った。

家の地域のゴミ置き場は、カラスに狙われたことが一度もなかった。
その日の朝は、時間との戦いの合間にゴミを出しに行くと、カラスが朝食のひとときを満喫していた。
あっと小さく叫ぶと、カラスがこちらを見て逃げるフリ・・をした。
スキップするように逃げてまた戻ってくる。
私は持っていたゴミ袋を音を立てて地面に置き、カラスを脅かした。

カラスは飛び立った。
私の勝ち。

と思ったら、少し離れたアンテナの上で、カラスがわざとらしくキョロキョロしているのが目に入った。そしてまた、華麗に舞い戻ってくる。
この繰り返しで、約5分。
朝の5分は無駄遣いしたくない。

記事の中の対策は、目玉模様の描かれた風船を設置しておくと良いとか、銃声、爆音、ロケット花火の音、人間の怒鳴り声が効果的だとか、テグスを張っておくと近づけないとか、使えそうだと思う反面、それを準備するには意外に難しいなという気持ちもあった。
そして行き着いたのが、レーザーポインターという訳だ。

そして、めんどくさがり屋の私は、次のゴミの日になってから、それを思い出したのだ。

早朝、遠くで鳴いているカラスの声で目が覚めて、ハッとする。その瞬間、良いことを思いついた。
降りてきたと言ったほうが正しいかもしれない。

そうだ、私はレイキヒーラーだった。
レイキは、ほぼ毎日使ってる。
だけど肝心なときに忘れているんだ。

まだ半分目が覚めていない、ぼーっとした状態で、両方の手のひらを近づけてエネルギーのボールを作った。それをぐっと広げてイメージの中のゴミ置き場を取り囲むように無数の光の柱に変換する。そんな感じで、ゴミ置き場の周りにレイキのバリアを張った。

すると、どうだろう。
今日はカラスが来なかった。
来る気配さえなかった。

それから、2週間が過ぎた。
私のカラス対策は、今のところ成功記録を更新している。


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智月 千恵実
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