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『恋人のように歩める仕事をもつ。絵から見るスペクトラムの特性』

自閉スペクトラム症の診断を受けてからひと月が経った。  

〝自分が何者であるのか。〟

今はただ、それが可視化されたデータを
頂けたことにホッとしている。
当初は〝ショックを受けるのだろうか。〟
と構えていたが、
日常も人も何も変わることはない。
自分がスペクトラムであると告白しても
誰からも傷つけられることはない。
それどころか喜んで受け入れてくれる仲間が
たくさん居て私は嬉しかった。

「俺たちは、マルチタスクだから没頭できるんだよ。」

ADHDの特性があると告白してくれた美術の同僚の言葉に心が震えた。

そもそもどうして35歳で
診断を受けるに至ったのか。
他者からのこの問いに私は喜びをもって答える。

発達検査を受けたきっかけは、4年前に息子(現在9歳)のASD(※脚注)の特性が明らかになったことである。

〝ASD Wikipedia〟と検索すると下記(※脚注)のように様々な特性について説明が表示されます。
「発達障害は白と黒の間のグレーの人たちを指し、社会に適応しづらい特性がある。」
と捉えられがちですが、グレーの領域は実に美しいグラデーションになっており、困りごとやその度合いも人それぞれであるということをどうか知ってください。
社会に適応できるか出来ないかは、置かれた環境で180°変わります。あなたの隣にいる人がASDの中でもどんな特性があるのかを理解すると、学校や職務上での誤解、当事者の生きづらさは改善され、お互いによい関係をつくっていくことができるでしょう。

                   米光智恵

※ASD とは?

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ASDは、以下の略称である。

急性ストレス障害(Acute Stress Disorder)
心房中隔欠損(Atrial Septal Defect)
自閉症スペクトラム障害
(Autism Spectrum Disorder)
アジア研究分遣隊
(Asian Studies Detachment)
オートマチック・スーパー・デリス
(Automatic Super Delice)
オーストラリア電波総局(英語版)
(Australian Signals Directorate)
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〝もはやどんな育児マニュアルもこの子には適応しない。オリジナルの子育てを組み立てなければならない。〟

そう決心した日から私は
特別支援教育に携わるようになった。
当時中学校で美術教師をしていたが、
息子との時間をつくるために退職。
療育と並行して、児童発達支援センターに
パートとして勤めだした。
この職場で様々なギフトをもって生まれた
子ども達に出逢った。
親御さん達と関わる中で、
息子の話を分かち合うことができた。

「わたし達は天才の尻ぬぐいをしているんですよ。喜んでお尻を拭かなくてはね。」

あるお母様のこの言葉に
何度救われたか分からない。
入社して3年が経った頃、
ふと自分自身の特性を知りたくなった。
自分をよく知らずに児童発達支援員として
子ども達に関わっている状況に
矛盾を感じたのである。
私は34歳にして精神科の門を叩いた。
何の抵抗もなく、医者や看護師の皆さんに
自分の生い立ちや困りごとを
相談できた。わっと涙が溢れた。


〝子ども達を養護する私が弱くてはいけない。〟

20歳で小学校に赴任した当時の私は
こんな間違った観念を持ちながら
教師をしていたのだった。
自分をトリートメントする時間など
持ってこなかった。
〝持ってこなかった〟というよりは、
〝人生を回想する時間など無いくらいに
子ども達との時間が楽しく、
教師生活が充実していた〟
といった方が適切なのだろう。

診断を受けてから今1番想うことは、

『恋人のように歩める仕事をもつこと』だ。

発達障害が認知されはじめている時代にあって
特性をもつ人たちにできることは、
これが「障害」ではなく、
「壁」ではなく、「境目」でもなく、
「ギフト」であると捉えなおし、
その秀でたタレントをもって
社会に関わろうとする姿勢を
世の中に発信していくことであると思う。
私にとって美術の教師というお仕事は
恋人のように歩めるお仕事である。
子ども達にも恋人(お仕事)を見つける手助けをしたい。

『柳生千裕くんの絵と出逢って』

昨日、10歳にして恋人(お仕事)を見つけた
自閉スペクトラム症の少年のドキュメンタリー番組を観た。コピックアワード世界大会で入賞した
柳生千裕くんの絵に心が震えた。
色や形にエネルギーがみなぎっている。
同じ特性をもつ自分自身と彼を重ねた。
そして10代の頃から書き溜めた絵を
慌てて掘り出してきた。

〝自分は変な子。〟

と自覚をしながら無我夢中で描いた絵だ。
絵を見つめながら千紘くんと同じ魂を感じ、
嬉しくなった。
今なら昔こっそりと描いた絵を
表に出すことができる。
押し込めて、隠してきた自分を
皆に紹介することができる。

はじめまして。
私は「自閉スペクトラム症」という特別なギフトを携えて活動している米光智恵(よねみつちえ)です。どうぞ宜しくお願いします。

      大人の図工塾管理人 米光智恵

【gallery CHIE】

〈題名『宇宙人だらけ』ポスカと筆ペン
16歳で描いた〉

〈題名『スペイシーガール』コピックと水彩 
18歳で描いた〉

〈題名『people tree シリーズ』筆ペンとピグマ
18歳で描いた〉

〈題名『とにかく髪の毛が多い女性(ヒト)』筆ペン、水彩 19歳で描いた〉


〈題名『レインコートコレクション』ポスカ、コンテ、筆ペン 25歳で描いた〉

〈題名『教職員美術展ポスター』『マンダラ』筆ペン、パステル、ポスカ、修正ペン、コンテ、チョーク  20歳で図工教師になってから描いた〉

〈題名『Iいのち〜INOCHI〜』
パンパステルと写真のデジタル加工
23歳。赤ちゃんを身籠ったような気がして描いたら妊娠していた。〉

〈題名『育児日記シリーズ』ピグマ、色鉛筆、パステル、水彩 24歳から30歳 子育てしながら描いた〉

〈題名『その女性(ヒト)』ピグマ、筆ペン、水彩、修正ペン、ラメマニキュア、フェイク金箔
32歳で描いた中東女性〉

〈題名『御使いガブリエル』筆ペン、ピグマン、パンパステル 33歳でグループ展に出展した作品〉

〈題名『涙』パンパステル、色鉛筆
34歳 最近の絵〉

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