職業選択

先日、職場で上司との定期面接があった。
事前提出の記入票をみながら、20数年前を思い出していた。

いろんな事情から、出身の大学に入学した。
医療系の資格を取りたいと思ったのは、中学生くらい。母の過去のことを知り始めてからだと思う。

私の母は、私が1歳の時に、急病で亡くなった。
くも膜下出血だった、具合が悪くなって、最初に行った近所の開業医には「風邪だろう」と言われて自宅に戻り、翌日急変してなくなった・・と叔父から聞いたのは中学生くらいだったと思う。私が4歳の時に父は今の母と再婚したので、産みの母のことを聞くことはしなかったし、なんとなく口に出してはいけないような雰囲気を感じていた。

それでも知りたかったよね。
叔父が話してくれたのは、特になにか意図があったわけではなく、「なんとなく」だったのではないかと思う。今はもう亡くなってしまったので確認することはできないのだけど。

病気で亡くなったということを知って、いろいろ考えたんだろう。病気に対して「罹患する」側ではなくて、「治療する」側に立ちたいと思った。「病院の人」になりたいと思った。

で、病院の人って? 医師、看護婦(当時の名称)他に? あ、薬剤師。

そのくらいしか、知らなかった。実際に進路を決めたのは、高校2年くらいだったと思う。

中学のときは、成績がかなり良かった。ハイレベルの公立高校に合格した。高校生活は本当に本当に本当に!楽しくて、充実していた。でも、ハイレベルがゆえに、本当に頭の良い子が多くて、ついて行くのはなかなか大変で結構な挫折感を味わっていた。私の高校は2年から3年に進級するときに、文系か理系かを選択しないといけなかった。文系科目は散々だったので、理系の生物・化学を選んだ。(理科3科目のうち2科目を選択しなければいけなかった) ここで物理を選ばなかったので、大学で苦労することになるのだけど、高校1年の時の物理の先生が大っ嫌いだったので、物理を選ぶことはしなかった。(全くおすすめしない選択方法)

進路を考えるにあたり、選択の事情はシンプルに「お金がかからないこと」だった。父方の親戚は高校卒業が最高レベルで、それ以上進学する人は今までいなかったので、卒業したら働くのが当たり前だった。産みの母の方は男の子は進学した人はいたけど、女の子で進学した人はそれまでいなかったし、育ての母の方も女の子で進学した人はいなかった。

つまり、女の子が進学するというのは、なかなかしんどい環境だった。貧乏だったし。私が親から言われたことは、「お金を出せるのは、国公立大学の金額まで、自宅から通学できる範囲。現役合格に限る。」だった。それが可能なら進学させてやる・・みたいな。そこまで強い口調で言われたわけではないけど。

医療系の進路のうち、医学部はサクッとあきらめた。理由は高校のクラスメイトを見ていて、学力の違いを感じたこと。48人のクラスで3人医師になったけど、高校の時から頭の回転が違っていたよね。医学部を目指していたクラスメイトからは明らかに劣っていたし、国公立で自宅から通える範囲の大学医学部は2つしかなくて、まあどうあがいても無理。

薬学部は、自宅から通える国公立がなかった。

で、看護を目指すことになった。第一希望は、国立大学(4年制) 
併願で、公立短大と私立短大、私立の看護学校(3年制)を受験。

私立の看護大学(4年制)は学費が高すぎて目がくらんだ。受験料も高すぎて記念受験も考えられず(笑)
慶応義塾大学看護短期大学部(当時)という、慶応義塾大学の短大は受験して合格していて、国立に落ちたらここに行く予定だったのよね。ここに行っていたら金銭的に厳しいので、奨学金等々めいっぱい使って、バイトもしまくって、カツカツの学生生活だったと思う。

結果的には無事に前期で国立大学に滑り込めた。本当にうれしかった。
勝因は、身近のクラスメイトがみんな頑張っていたからだと思う。引っ張られた感はとてもある。自分ひとりだったらあんなに頑張れなかったし、楽な方に流れて「同じ看護師の資格を取れるなら、楽な看護学校でいいや」になっていたと思う。4年制は目指してなかっただろう。

で、看護師を目指したのが本当に正しかったのか?

いまだに分かりません(笑)
でも、看護師を保健師と両方の資格を取れる4年制に行ったことは正解だった。看護師だけでは、私はこんなに長く仕事を続けることはできなかったと思う。

看護師の選択は失敗だった。なぜなら、体格的な問題。看護師には向かないレベルのちびなのよ。146cmって。ちびでも大丈夫って思うでしょ? 確かに仕事は可能。働くことはできる。可能だけど、余裕がないの。どうしても体力を使う仕事が出てくる。体格が必要になる。補助器具も使うようになってきているけど、緊急時は体力勝負・体格勝負の部分が出てくる。手が届かないとか、患者さんを支えられない体格は、看護師として致命的なの。緊急時に足台をもってくることはできない。

保健師の資格をとって、本当に良かった。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?