新卒で銀行に就職

前回の記事で、私の学生時代のことを書きました。


次は社会人生活について書いていきたいと思います。

約15年前、大学卒業が近づいてきた頃、周りと同じように何も疑わず就職活動を始めました。
学生の時は小学校が終われば中学校、高校、大学と一つのルートしかなかったので、その先に就職活動があり、会社員になるルートしか見えていませんでした。

就職活動も商社、金融、マスコミなど限られた選択肢しかないと思っており、その中から安定と思って金融を選択。
就職活動が始まったらみんな黒髪でリクルートスーツを着るルール。
私はそんなのダサいと当時パーマヘアーにストライプが入ったパンツスーツで活動していました。
多分だいぶ異端児だったかと。

その結果、某信託銀行に入社しました。私はその時出来たばかりのリテール総合職に就き、支店で個人のお客様に投資信託を販売する仕事につきました。
入社式では周りの東大卒などのエリートがいる中で新入社員代表として挨拶をしました。(多分苗字のあいうえお順だっただけ笑)
挨拶したということ、パーマにストライプのいでたち。私の名前は入社前から色々なところに伝わっていたようです。

鳴物入りで入社をすると急に社会のルールが現れました。

  • 新卒は誰よりも早く出社して全員のパソコンの電源をつけなければならない

  • 飲み会には絶対参加。女性は上司や取引先の席を周りお酌をする。

  • 飲み会後のカラオケも必須。取引先の男性が喜ぶように歌って場を盛り上げなければならない

  • カラオケの最後は全員で肩を組んで「サライ」を歌うのが決まり

  • 上司が残業している時、新卒は自分の仕事が終わっていても帰ってはいけない。

  • 新卒の中で投資信託をどこの店舗の誰が一番に売ったか毎日メールが来て、それに早く乗るために、顧客のニーズをうまく言いくるめて投資信託を買いたくなるように仕向けなければならない。

  • 赤札(通帳を預かった時に渡す番号札)は通帳と同じ価値がある。回収漏れをしたらお客様のお家まで支店のトップとタクシーを飛ばし、菓子折りを持って謝りながら回収しなければならない。

私はこれらのルールをなぜ守らなければならないのか分かりませんでした。
会社に入ったら自分という存在は消して組織の一員として生きなければいけないのかと。
まるで仮面ライダーのショッカーのように。

そんな社会人生活のある日、私のブースにおじいちゃんとおばあちゃんが来て、大切そうに退職金を抱えて預けに来ました。
定期預金でほとんど増えなくてもこのご夫婦は幸せに暮らせるだけお金を持っていたけれど、私は後ろで見る先輩の圧に負けて投資信託の話をしました。
そのご夫婦は
「あなたがすごく頑張っているから投資信託するわ」
といって契約をしてくれました。
その時私は
何のために仕事をしているのだろうか。わざわざリスクのある商品を必要ない人に勧めて。

その日以降、私の会社員への拒否は体に現れました。
会社内で食べるお昼ご飯だけ吐いてしまうのです。
他の場所では揚げ物も焼き肉も好きなだけ食べれるのに。
結局会社内では唯一吐かなかった冷たい蕎麦、カロリーメイトだけを食べて過ごしました。
心療内科も受診。安定剤をもらう日々。

これはもう限界だな。これ以上いたら私は壊れてしまう。
入社から半年後、私は退職を決断しました。

父と母に話すと
「せっかくいいところに入社して安定したルートに乗れたのに。周りの人にもうちの娘は銀行員だと自慢してたのに。絶対後悔するから続けた方がいい。」
吐いている現状を知っていてもこんな言葉を投げつけられました。
勘当されてもいいという覚悟で退職を決め、その後会社の支店長に直で話しました。
(実際家族とは和解し今も仲良しです)

支店長からは
「親御さんには相談したの?きっと後悔すると思う。例えば同年代の他の職場の話を聞いてそっちがいいとか思ってるならそれは隣の芝生は青いだけだから。」と言われました。
私はなぜ成人の私の決断にまず親が出てくるのかもわからなかったし、後悔するかどうかは私にしかわからないはずなのになぜこの人に決められなければならないのか。と思いますます辞めることを決めました。

銀行での新人には教育係の先輩がつくのですが、私はその人も好きではなかったので相談もせずに決めました。
すると支店内に退職の話が伝わったある日、教育係の同期の先輩から
「なんで◯◯ちゃん(教育係)に相談しなかったの?◯◯ちゃんすっごく悲しんでるよ。」
と言われ、ここは女子校なのか?と笑いそうになりました。

やはり風土も仕事内容も私には合っていなかったようです。
そして入社から半年、私は晴れて自由の身となりました。

つづく…

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