「結婚しなさい」という呪い

もうそろそろ結婚適齢期に入って、周りの人から結婚報告を聞くことも多くなった。同い年で子どもがいるとか、2人目ができたという話を聞く機会もある。

わたしの親は、「結婚しなさい」とは言わない。「結婚相手、見つかりそうなの?」とも言われない。それはうちの親が、俗に言う親バカで「結婚してほしくない!ずっとウチの娘でいてほしい!」と言うから。

小さい頃はそんな親が鬱陶しくもあったが、この年になると感謝することが多くなってくる。なぜか。周りの子が「結婚しなきゃ」というプレッシャーで暴走し始めているからだ。変な婚活パーティーに参加して男にダマされたり、出会い系アプリに何万と課金したり、合コン三昧で自分のスキルアップの時間を取れなかったり。はたまた、恋愛でこじれて親友を失ったり、親兄弟と大喧嘩したり。もうそんな暴走させてしまうようなことを言うのはやめないか。そばで見ているこっちの心が、痛くて持たない。

どうして日本は30歳前後の女性に「早く結婚しなさい」と言うのか。本人にとっては、余計なお世話でしかない。本心では早く結婚したいと思っている女性にとっても余計なお世話だし、結婚する気がそもそもない人にとっても余計なお世話だ。私たちの親の世代、さらにその上の世代は、結婚しないと女性はまともに生きていけなかったんだと思う。だから、仕方ないとも思う。

いま、私は現代を生きていて本当に感謝している。昔は時代がなかなか女性を自由にさせてくれなかったという側面も大いにあると思うからだ。今は、苦しいながらも自分でしっかり舵を取れば男の人と結婚して、お金をもらって生活しなくてもいい。もちろん、昔もそうだったんだと思うけれど、今とはその圧力が全然違うと思う。

今も、日本で生きる女性は本当に苦しい思いをしている。そして、その反響を受けて若い男性も苦しい思いをしていると思う。最近の日本の息苦しさは異常だ。こうして苦しい思いをしながら時代というのは変化していくのかもしれないけれど、それにしても苦しい。

私と同年代以下の若い男女を見ていると、本当に気の毒だ。「女らしくしろ」「男らしくしろ」と許されないこともたくさんある。「年収が自分より低い男はNG」とか言われたり、「女は若くないとダメ」とか「おっぱいは大きいほうがいい」と言われたりする。年収なんて業界の格差もあるし、ある程度社会の中でハマることのできる枠というのがあるのだから、そこからこぼれる人も当然いる。医者になりたくてもなれない人も、当たり前だけれどいる。どこの大学にも定員があって、どこの就職先にも人数的にこれ以上は雇えないという限界値があるからだ。

当たり前だけれど、誰でも年齢を重ねる。「女は若くないとダメ」と言う男に限って、不老不死の薬を飲んだ女だと言うときっと怖がって近寄りもしないと思う。おっぱいだって、医学的な話はよくわからないが、どんなに努力しても大きくならない。豊胸手術をしたらしたで「豊胸だ!」と、何か犯罪者のように指摘されたりして、本当に面倒だ。

ただこういう、鬱陶しいことを言ってくるのは、私の周りでは結構年上の人だ。最近の人は、やさしい。人に対する見方も多様化しているし、考え方も柔軟だ。「結婚しないと!」と急かしてくる同世代以下の男の人はいない。一回り、二回りくらい年上の人が言ってくる。余計なお世話だ。

言いたいことがバラついたけれど、こうして皆が少しずつ苦しい思いをしているから、早く時代が変わりきってほしいのと、早くみんなにとっていい時代が来てほしい。誰も苦しい思いをしない時代を切望している。

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