見出し画像

包丁スタンドを、断捨離

この家に暮らして8回目のお正月。毎日立つ台所は、コレはここに置いて、アレはあそこに収納して……と、わたし史上最強のコックピットに整備したつもりだったけれど、まだまだ過程かも。完成する日はこないかも。暮らしかたって、永遠のサグラダファミリアなのかもしれません。風が吹いたわけでも桶が駄目になったわけでもないけれど、年末12月の半ば、「包丁スタンド、いらんかも」という想いが降って湧きました。

包丁スタンドは、6~7年前に母が近所のホームセンターで買ってきたものです。ステンレス製の直方体で、上から刃を刺す口が3つあって、背面には水切りかごの柵に引っかける用のフックが付いています。まな板しごとのあと、包丁を水切りかごに横たわらせて乾かしていたわたしに寄越してくれました。「そんなんしてたら刃がいたむから」と。我が家の水切りかごは1段モノで、フックの位置がその柵よりも高かったので、シンク側の柵の外側に引っかけて使っていました。

でも、それだと、包丁スタンドがシンクの壁にだいぶはみ出すカタチになるので、水はねを受けまくる包丁スタンドを洗うのも、シンクの壁を洗うたびに包丁スタンドを取り外さなあかんのも面倒なんです。2年くらい「しゃあないなー」と諦めて使い続けていたんですが、ある日むくりと「我慢するの、やめよう」と思い立って。外側に引っかけなくても、水切りかごの内側に立てかければええやん、と。水切りかごの溝が滑り止めにもなるし。我ながら妙案だわ、と悦に入ってそれからまた数年経って、ふと思ったんです。これ、なんかブサイクやなって。水切りかごと包丁スタンドの、どちらも相手に寄り添ってない感じ。「"据え置き"ぶってるけど、あんた"仮置き"やろ」感。

一度気になったらもう見て見ぬふりができなくって、新たな包丁スタンド探しの旅に繰り出しました。レッツ、Google画像検索。まな板スタンドとセットになった子じゃなくて、包丁だけを立てられる子。場所を取らないスリムな子。自立する子。おしゃれ木製じゃなくていい、オールステンレスの子。探せど探せど、なかなかどうして、すべてを兼ね備える「ユー、うちに来ちゃいなよ!」って子に出会えません。収納場所――シンク下の引き戸の内側に備え付けられた包丁差し――はあるの、乾かしたいの。乾かせる場所がほしいの。だって、直置きしてたら「そんなんしてたら刃がいたむ」んやもん。

悶々、もんもん。アレでもない、コレでもない。ぽくぽく、ぽくぽく……

チーン! 包丁スタンド、いらんな、これ! 布巾や!

乾いた布巾の上に寝かせておけば、布巾のやわ肌で刃に衝撃は当たらないし、水分も吸収されるし、最後に拭いて包丁をなおした後は、どこかに掛けるかなんかすれば、かさばらないし。中川政七商店のかやふきんをお皿拭きに使っているのですが、年末で代替わりさせるところだったんです。ウエスに変身する予定だった旧かやふきん、台所のスタメンを続投。

思いついて数日、試してみました。いいです、いいです。ごはんの支度中に洗った包丁は流し台に広げたかやふきんの上に置いて、そうしたらごはんを食べ終わる頃にはほとんど乾いているので、片づけのはじめにちゃちゃっと拭いてなおして、かやふきんはレンジフードにつけたS字フックに掛けて、おしまい。レンジフードはリビングダイニングから死角に位置するので、見栄えも悪くなりません。ワンダホー!

DIYもそうなのですが、断捨離して「快適」を組み立ててる感じって、活力を呼び起こしますね。前向きになります。

やる気は迎えに行くもの。
「やる気が出たからこぶしを上げる」のではなく、「こぶしを上げたからなんだかやる気が出る」んです。

上大岡トメ・池谷裕二「のうだま」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?