見出し画像

易しいやさしさを、見つけなきゃ

吉本ばななさんが、月額マガジン「どくだみちゃん と ふしばな」のノート「ものを創る人」の中で、こんなことを書いていらっしゃいました。

昨日、雨の中を傘なしで歩いていく小学生の女の子がいて、車に乗せて駅まで行ってあげたかったけれど、現代ではそれはもはや犯罪だし、その子も居心地よくないだろうと思って声もかけられず、なんだかぞっとした。小さい子がびしょぬれで歩くほうが安全な時代。そういう時代の中に、私たちはいつのまにかいる。

ひよこが一人びしょぬれで歩く姿を想って、胸がきぅっと絞られました。

その子を追い越して車でびゅーんとコンビニなりなんなりに行って、傘を買って、その子のところにびゅーんと戻って、「これ使いな」って渡す。イマドキの「正しい」やさしさとしては、こういうことが解なんだと思います。往復の時間とお金の持ち出し……優しいけど、易しくはないですね。咄嗟の場面でそれができる余裕のある人、どれだけいるんだろう。

今、ここでできること。そのとき備わっているもので、ありものでできること。「わたしはコレができる」と把握して、「最低限ココまでならできる」と線をひく。そうやってわきまえる力を、わたしも、ひよこも身につけておかないと、苦しいですね。持ち出しができる人は、素晴らしい。だけど、できないからって縮こまる必要はなくて。できない人を呪うのは筋違いで。

傘を1本、車に余計に積んでおこうと思います。いざその場面で、差し出せるように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?