見出し画像

【選挙ウォッチャー】 東京都知事選2024・N国党のポスター掲示板ビジネス問題。

 6月20日告示、7月7日投票で、東京都知事選が行われますが、実はこの選挙、先日の東京15区での衆院補選と同様、かなり荒らされそうな予感がしています。
 というのも、反社会的カルト集団「NHKから国民を守る党」が、候補者を30人近く擁立し、ポスター掲示板に「東京都知事選」とはまったく関係のないポスターを自由に貼る権利を、1カ所につき5000円で販売するビジネスをしようと企んでいるからです。
 既に権利の販売は始まっていて、東京都知事選とは全然関係のない主張や宣伝のために、都内約1万4000カ所のポスター掲示板を利用されようとしています。
 しかし、我々は誰かのビジネスのために「選挙」をやっているわけではありません。都民にとって「都知事を誰にするのか」という選択は、命や暮らしがかかった非常に重要な判断です。ある人が知事になれば、外国生まれで生活保護を受けている人たちが給付を受けられずに死んでしまうかもしれないし、ある人が知事になれば、新型コロナウイルスに感染しないためのワクチン接種が禁止され、感染を確かめるためのPCR検査もできなくなるかもしれません。
 ロシアやイスラエルを見ても分かるように、誰が政治家になるかで、ただちに奪われる命や生活がある。これが「政治」です。だからこそ我々は真剣に投票先を選ばなければならないのに、わけのわからない「宣伝」が入り込み、投票先を真剣に考えられなくなるばかりか、選挙にかかる費用が膨大になってしまいます。
 世田谷区議の報告では、立候補者が増えたことで、ポスター掲示板の拡張費用として、少なくとも2500万円がかかると試算されており、今後、さらに候補者が増えてしまうと、ますますお金がかかりますす。純粋に東京都知事になりたい人たちが多くて拡張しなければならないのであれば、それは必要なコストだと考えられますが、少なくとも30人は「自分たちのビジネス」が目的なので、我々の税金が無駄に使われるだけなのです。


■ 表向きは「寄付」、本質は「商売」

東京都知事選に30人を擁立する計画を発表した「NHKから国民を守る党」

 東京都知事選で30人を擁立するためにかかる供託金は、9000万円です。
 常に借金を繰り返している尊師・立花孝志に「9000万円」というお金はありませんので、どこかから調達してくることになるわけですが、「お金を貸してくれる人がいる」と聞けば、フットワーク軽く、どこにでも駆けつけ、得意のホラッチョ話で投資を募ります。
 けっして「寄付をしてくれ」とは言わず、あくまで「借金」という形にすることで、相手に「金利」という「うまみ」を持たせ、まるで投資のように話を持ち掛けるのが立花孝志の手法です。これがあくまで「借金」である以上、いつかは返さなければならない日が来るのですが、これまでに返済不能に陥った11億円の借金は、すべて大津綾香党首にかぶせ、債権者に破産申立をさせることでチャラにすることに成功したので、また新たな借金をすることで供託金を用意しています。

30枚のポスターを貼って、そのエリアで宣伝できる権利を1ヶ所5000円で販売している

 選挙には9000万円のほかに、選挙ポスターを貼ってくれるアホのN国信者に払う日当などがありますので、尊師・立花孝志は、今回の東京都知事選で約1億円の借金をしたと考えられます。
 あくまで「借金」なので、金利をつけて返済しなければなりませんが、どのように返済する話になっているかと言うと、1つは2025年の参院選で2%以上を獲得し、国政政党の要件を満たすことで、仮に浜田聡が落選しても、齊藤健一郎が残っているので、少なからず約束されている3年分の政党助成金からのお支払い。もう1つは、今回の東京都知事選でポスター掲示板を使ったビジネスをしているので、ここで出た利益の中からの返済です。
 言うまでもありませんが、「NHKから国民を守る党」は、最初から当選するつもりはありません。投資をしてくれた人に「金利をつけて返済している」という性質から、N国党のみならず、N国党に投資をしている人たちの金儲けにもなっていることは指摘しておかなければなりません。
 また、尊師・立花孝志は、党に払う5000円はあくまで「寄付」だと位置づけていますが、実際は「販売」です。これまでの記者会見などで「実質的な販売」であることを認める発言をしているほか、5000円という価格に「税込」と表記したこともありました。つまり、「寄付」という形で回避しようとしていますが、公共のポスター掲示板が「商売」に利用されているわけですから、これもまた問題です。


■ 問題が無視され続ける背景

 これから大きな問題が起こることは確実ですが、今のところ、この問題が報じられる気配はありません。というのも、今はまだ計画の段階で、けっして実行されているわけではなく、現実に起こって初めて事件性が問われるのであって、まだ何も起こっていない段階で問題だと報じるメディアは存在しません。
 また、「NHKから国民を守る党」が炎上によって話題を得ることを戦略としているため、たとえネガティブな報道であっても、報じるだけでN国党に利するのではないかという心配によって、今から報じる必要はないと判断されて、結果的に見過ごされることになってしまうのです。
 しかし、メディアが報じなくても、我々のような野良ジャーナリストは自分の媒体で伝えることができます。このポスター掲示板ビジネスは、けっして水面下で行われているわけではなく、YouTubeで広く大々的に客を集めています。「民主主義の破壊」とも言える行為に乗っかる人たちも乗っかる人たちなのですが、最近まで国政政党だった政治団体が選挙をビジネスにしているのですから、問題視する記事の一つも出してもらいたいものです。


■ カカシとして立てられる候補者たち

迷惑系YouTuber・へずまりゅうの立候補に100万円を払った尊師・立花孝志(引用元リンク

 先日、迷惑系YouTuberとして悪名高い「へずまりゅう」が、東京都知事選に立候補することを表明しました。立候補には300万円の供託金がかかりますが、このうちの100万円は尊師・立花孝志が援助したようです。

 へずまりゅうは、2021年の参院補選に「NHKから国民を守る党」の公認候補として立候補したことがあり、2023年の豊島区議選にも立候補していました。
 かつてのような激しい迷惑行為はしていないようですが、相変わらず物議を醸す言動で注目されようとしている人ではあります。今回も当選できないことは百も承知で立候補していると思いますので、これもまた話題になれば何でもいいと思っている迷惑系YouTuberの行動そのものです。そして、これをサポートしているのが尊師・立花孝志です。世の中に確実に悪影響を及ぼしている人間だと思います。

2023年の品川区議選に立候補して落選していた元コールセンター長の久保田学

 現在、尊師・立花孝志は「30人」という数を揃えるため、立候補してくれそうな人に片っ端から声をかけています。元コールセンター長でニコ生主の横山緑(久保田学)もカカシの1人になりました。
 また、4月の衆院補選に立候補した福永活也もカカシの一人となり、名義を貸している状態になっています。特に、福永活也は「立花孝志に全権を委ねる」と表明しており、福永活也が選挙運動のようなことをすることはなく、弁護士のくせに、こうした立花孝志のポスター掲示板を使ったビジネスにストップをかけることなく、むしろ加担する側に立っています。


■ 政見放送を求めての「都知事選」

 なぜ衆院選ではなく、「東京都知事選」なのか。
 これは多くの人が疑問に感じるところでしょう。衆院選であれば、小選挙区で当選する可能性はなくとも、供託金没収ラインを超える可能性が多少なりともあるのに、なぜお金が返ってくるわけでもない東京都知事選に立候補するのか。
 理由の一つは「衆院選より東京都知事選の方が話題になるから」です。
 まず、衆院選に30人を擁立しても、それくらい擁立するのが当たり前なので、まったく話題になりません。1人しか当選しないところに30人を擁立するから「バカなんじゃね?」となって話題になるわけで、立花孝志としては「バカなんじゃね?」と思ってもらえれば、それで成功なのです。
 もう一つの理由は「政見放送があること」です。
 実は、大津綾香党首との代表権争いに敗れ、尊師・立花孝志は「国政政党であるための権利」を失いました。なので、7月にも行われるのではないかと噂されている衆院選があったとしても、反社会的カルト集団「NHKから国民を守る党」は、政見放送を流すことができません。
 尊師・立花孝志は「テレビで放送されること」を何より大切にしているため、もっと言うと、「NHKで放送されること」を何より大切にしているため、NHKで放送されないのであれば、あまり「おいしさ」を感じないタイプです。
 あんなに「NHKをぶっ壊す!」と言っているのに、「NHKの影響力を何よりも信じている」というのが、アホの尊師・立花孝志の特徴です。そもそも立花孝志の活動そのものが、NHKをクビになった逆恨みから始まっているので、古巣のNHKで「NHKから国民を守る党」の政見放送が流れることを何よりの喜びとしており、あえて衆院選ではなく、東京都知事選に候補者を大量投入しているというわけです。立花孝志の中では、NHKの政見放送の枠を「30本」買っているも同然で、実は、ポスター掲示板でビジネスをするというのは副産物的なものになります。


■ この掲示板ビジネスは失敗する

 このポスター掲示板を使ったビジネスは、現状、600ヶ所ほどしか売れていないため、実質的に大赤字になっています。しかし、立花孝志自身はあまり気にしないことでしょう。それより通常通りのホラッチョで、1億円ほどの資金を調達できたことで、さらなる自信を深めたと言えるのではないでしょうか。
 結局、どんなに借金が膨らんでも、最終的に誰かに押し付けてトンズラこく方法が編み出されたことで、無限に借金ができる状態になりました。立花孝志にとっては、「ポスター掲示板ビジネス」が黒字になることより、いざとなった時に億単位のお金を引っ張ってこられる方が重要なので、政党そのものが落ちぶれていても、あるいは、党を破産させた実績があっても、引き続き、アホにホラッチョをかませば、巨額の資金を調達できることが証明されてしまいました。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

 この「ポスター掲示板ビジネス」は、民主主義の根幹を揺るがす、非常に大きな問題であるにもかかわらず、あまり大きな問題として取り扱われない可能性があると考えています。
 というのも、「つばさの党」が大きな問題になったのは、あちこちに被害者が出てしまったからで、被害者が次々に警察に申し出て、さすがに看過できないと判断されました。
 一方、この「ポスター掲示板ビジネス」は、広く有権者が被害を受けていることになりますが、選挙妨害のように、被害を受けている実感がないと思われるため、マスコミが報じなければ、ほとんど問題視されない可能性もあります。
 しかし、もし問題として扱われなかった場合、反社会的カルト集団「NHKから国民を守る党」は、これが世間に受け入れられたと考え、今後、あらゆる選挙で似たような手法をする可能性があります。世田谷区だけで2500万円が上乗せされているのですから、東京都全体では数億円単位のお金が無駄になっていることになりますが、こうした無駄が繰り返し行われる可能性が出てきます。ですから、この東京都知事選で止めておく必要があるのではないかと思いますし、悪しき前例を作るのは好ましくありません。
 先日の衆院補選では「つばさの党」の3人が逮捕されましたが、今回の東京都知事選では「NHKから国民を守る党」に司直の手が伸びることを期待せずにはいられません。しかも、立花孝志は「政治団体を利用し、法の抜け穴を突いた税逃れ」を提唱しており、こうしたことが一般化すると、税金が適正に徴収されなくなる可能性があります。やはり野放しにしてはいけないのではないでしょうか。

いつもサポートをいただき、ありがとうございます。サポートいただいたお金は、衆院選の取材の赤字分の補填に使わせていただきます。