『やめとけ！チキンマン』番外異次元編～たなかしんの世界

2020年11月20日 22:38

2120年の中崎町にいるチキンマンは
かしこい人たちが作った様々な機械で
2020年に戻る実験をくり返した！
しかしどれも失敗ばかりで
いつもおかしな世界に迷い込んでしまうのだ！
「山ちゃんの世界」では手羽先にされそうになったし
「あなたの知らない世界」では
チキンマンが最も恐れる新倉イワオからひどい目にあわされた！
さて？
今度こそ2020年に帰る事ができるのか？
ものすごく期待しながらチキンマンはタイムマシンに乗り込んだ！

ういいいいーん！

ところが！
到着したのは「たなかしんの世界」という異次元だった！
「なんすか！
　どこっすかここは！」
チキンマンは高いところに立ってあたりを見渡した！

するとどこからか小さな声が聴こえた！
「助けてけろー！
　出してけろー！」
誰かが何かの中に閉じ込められている声だった！
「ややっ！
　語尾が”けろ”という事は山形県民だ！
　どこだー山形県民！」
チキンマンは山形県民を助けるため
”たなかしんの世界”のさらに深くに入り込んだ！

”たなかしんの世界”には巨大なねこや巨大なとりが多かった！
闘ったら勝ち目はなさそうだったので
なるべく静かに歩いた！

チキンマンはねこがとりを食べる絵を見つけた！
「なんて恐ろしい絵だ！
　こんな恐ろしい絵を見るのは『エコエコアザラク』以来だ！
　たなかしんというのは
　ひょっとしたら新倉イワオよりも恐ろしい奴かもしれない！」
「助けてけろー！
　出してけろー！」
山形県民の声が少し近くから聴こえた！
チキンマンはもっとに奥に進んだ！
しかし！

ちょっと油断したすきに
チキンマンはねこととりに囲まれてしまった！
「出たな！
　ねこととり！
　未来で身につけた”未来チョップ”をくらえ！」
もわん！
もわん！
「なんだと！
　俺の未来チョップがもわんとなる！」
未来チョップはまるできかなかった！
そのかわりにねこのパンチもとりのつつきも
全部もわんとなった！
「なんだここは！
　ぜんぶもわんとしていて柔らかいぞ！
　痛くない！」
チキンマンはねこととりをほっといてもっと奥に進んだ！

「助けてけろー！
　出してけろー！」

またしても恐ろしい絵がかざられていた！
ザリガニ怪獣が虫と魚を食べるところの絵だった！
「ぎゃあ！
　こんなに恐ろしい絵を見るのは『赤んぼ少女』以来だ！
　たかなしんの正体はひょっとしたら楳図かずおなのかもしれない！」
「助けてけろー！
　出してけろー！」
山形県民の声がどんどん大きくなった！
その声は森の中から聴こえた！
チキンマンはおそるおそる木をかきわけた！
森の中には黒い帽子をかぶってメガネをかけた怪人が座っていた！
「お前は誰だ！」
「たなかしんです！」
「なぬー！」
チキンマンは”しん”という名前から
てっきりターバンを巻いてサーベルを持った敵を想像していたのだが
たなかしんは全然ちがう姿をしていた！
「あれー？チキンマンじゃないですか！」
「俺を知ってるのか？」
「どうですか最近は？」
チキンマンはたなかしんとおしゃべりをした！
ものすごくいいやつだった！
なのでなかよくなった！
「ところで！
　たなかジェットしんよ！
　閉じ込められた山形県民を助けてやりたいんだがな！」
「山形県民？」
「どこからか”助けてけろー”という山形弁が聴こえるんだ！」
「あー！わかりました！これですね？」
たなかしんはチキンマンに銀色のカプセルを渡した！
開けてみて驚いた！