五月病

頬に触れる風の冷たさに目が覚めた。
曇っていたはずの空が青くなっている。

夕方五時、まだ明るい。
夏至までは一月半ほどあるちょうどいい季節。

スマホで音楽を流しながら髪を整え、歯を磨いた。

寝起きの肌は体の温かさに反して白くてそれが少しうれしい。




天使になりたかった。


聖書に書かれる天使ではなくて人畜無害でただふわふわ浮いているだけの天使。


天使の輪が浮かぶ髪と白くて柔い肌をもって、少し近づけただけでいいのだと諦めたのはついこの前。
大人びているとか言われるわりに外見の憧れは誰よりもメルヘンだったと思う。





おでかけから帰ってきた犬を連れて散歩に出た。

夕陽の反射する水面が眩しくきらきらと光っていた。
色鮮やかな花が風に揺れていて、目に映る世界のうつくしさに酔いそうになる。





今日からやっと始まったゴールデンウィークだけど木曜日には学校なんだっけか。
夕陽に向かって目を閉じてこのまま空気に溶けてしまいたいなんて考えるけれどおとなしく家に帰ろうと思う。






この休みにクリームソーダとパンケーキでも作ろうか

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